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藤井聡太二冠がA級昇級争い最有力――第80期順位戦B級1組開幕直前予想

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
「鬼のすみか」と呼ばれるB級1組で藤井二冠はどう戦うか(筆者撮影)

 第80期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)B級1組は5月13日東西の将棋会館で開幕する。タイトル経験者や元A級棋士が多く、昭和時代から「鬼のすみか」と呼ばれてきたこのクラスで前期B級2組から昇級したばかりの藤井聡太二冠(18)が総当たりのリーグ全12局(A級昇級2名、B級2組降級3名)をどう戦うか、データを基に分析した。

「不動の本命」でも道のりは険しい

 今期も参加13人の中でA級経験者が8人、そのうちタイトル経験者は5人と層が厚い。2021年に入ってから、ここまで12勝1敗と好調を維持している藤井二冠(王位・棋聖)にとっても容易でない相手ばかりだ。

<藤井二冠の順位戦スケジュールと過去の成績>*名前の後の数字は年齢

5月13日

対三浦弘行九段(47)

2勝1敗

6月3日

対稲葉陽八段(32)

3勝1敗

6月17日

対屋敷伸之九段(49)

2勝0敗

7月15日

対久保利明九段(45)

2勝3敗(1千日手)

9月16日

対木村一基九段(47)

6勝1敗

9月30日

対横山泰明七段(40)

0勝0敗

10月21日

対郷田真隆九段(50)

1勝0敗

11月11日

対松尾歩八段(41)

2勝0敗

12月2日

対近藤誠也七段(24)

4勝1敗

1月13日

対千田翔太七段(27)

3勝1敗

2月3日

対阿久津主税八段(38)

2勝0敗

3月9日

対佐々木勇気七段(26)

1勝1敗

 データが示すとおり、負け越しているのは久保九段ただ一人。指し分けも佐々木七段のみだから藤井二冠が昇級争いのトップグループに位置することは間違いない。

 ただし今期は新参加で順位11位と下位のため、展開次第では10勝2敗くらいの好成績でも頭ハネ(同星は順位優先)を喫する可能性がある。順位1つの差は実質半星の差があり、このクラスを1期で駆け抜けるのは簡単ではない。

20代中心の昇級争いにベテランがからむ展開か

 藤井二冠以外の昇級候補は20代の近藤七段、千田七段、佐々木七段が有力と見る。持ち時間各6時間の長丁場では持久力も重要だし、体力を生かしての豊富な研究量も勝負に大きく影響するだろう。

 ベテラン勢では昨年永瀬拓矢王座に挑戦した久保九段(五番勝負は2勝3敗で惜敗)、前期最後までA級復帰を争った木村九段、30代では今春NHK杯で初優勝した稲葉八段らがレースの先頭集団を構成すると予想される。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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