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渡辺名人への挑戦者決まるか――第79期順位戦A級8回戦一斉対局展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
順位戦の頂点に君臨する渡辺明名人(筆者撮影)

 渡辺明名人(36)への挑戦権を争う第79期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)A級は2月3日、東西の将棋会館で8回戦が一斉に行われる。

 現在星一つのリードで首位を走る斎藤慎太郎八段(27)はこの日挑戦者に決まる可能性がある。

 全カードの対戦成績と最近の調子を基に挑戦権の行方と残留争いを予想してみた。

挑戦権争いは最終局に持ち越しか

<順位戦A級成績>(丸数字は現時点の成績順。段位のあとの数字はリーグ順位)

①斎藤慎太郎八段(10)6勝1敗

②豊島将之竜王(1)5勝2敗

③広瀬章人八段(2)5勝2敗

④佐藤天彦九段(4)4勝3敗

⑤佐藤康光九段(3)3勝4敗

⑥羽生善治九段(5)3勝4敗

⑦糸谷哲郎八段(6)3勝4敗

⑧菅井竜也八段(9)3勝4敗

⑨稲葉陽八段(8)2勝5敗

⑩三浦弘行九段(7)1勝6敗

<8回戦カードの直接対決成績>※成績順・カッコ内は先手番

斎藤八段2勝-稲葉八段(先)2勝

豊島竜王(先)10勝-佐藤康光九段7勝

広瀬八段14勝-羽生九段(先)20勝

佐藤天彦九段(先)5勝-糸谷八段7勝

菅井八段(先)3勝-三浦九段1勝

 トップを走る斎藤八段は稲葉八段と2勝2敗の五分。直近10局の成績は斎藤八段6勝4敗、稲葉八段5勝5敗と調子ではわずかに斎藤八段が上回る。斎藤八段が勝って豊島竜王、広瀬八段がともに敗れると挑戦者決定となる。

 2番手グループの直近10局は豊島竜王が8勝2敗と好調、広瀬八段は5勝5敗と五分の星だ。それぞれの対戦相手は佐藤康光九段が4勝6敗、羽生九段5勝5敗なので豊島竜王やや有利か。挑戦権の行方は最終9回戦までもつれることになりそうだ。

 なおプレーオフ(9回戦を終え同星が複数の場合実施)進出の可能性は現在4番手の佐藤天彦九段まで残っている。

羽生九段は残留マジック1

 順位戦A級のもう一つの見どころといえば残留争いで、昔ながらの将棋ファンはこちらの方に注目する人も多い。

 タイトル獲得通算99期の大棋士・羽生九段は7回戦最終局で勝って6番手に浮上したため順位の関係で残り2局中1局を勝てば残留確定。素人目には安全圏に入ったように思われるが、最後まで何が起こるかわからないのが順位戦の怖さだ。

 現時点ではここまで1勝6敗と不振の三浦九段が崖っぷちに立たされている。無論菅井八段に負ければ即降級だが勝利すると前期の順位が生きて、自力ではないが最終局に望みをつなげる状況。稲葉八段も敗れると陥落決定の可能性がある。最終局まで残留争いの直接対決が多く混戦としかいいようがない。

 2月3日はどの対局も深夜までの熱戦になること間違いなく、ファンにとっても長い一日になるだろう。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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