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「年度内三冠」の望みをかけた大一番――第70期王将戦プレーオフ豊島竜王-永瀬王座戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
豊島将之竜王はタイトル戦続きでも好調を維持している(筆者撮影)

 渡辺明王将(36)への挑戦権を争う第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は11月30日、東京都渋谷区「将棋会館」で挑戦者決定リーグプレーオフ豊島将之竜王(30)-永瀬拓矢王座(28)戦が行われる。

 両者とも年度内三冠の可能性を残しており勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

豊島竜王の好調が目立つ

<豊島竜王の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)

10月15日 王将戦リーグ

対広瀬章人八段 ○(持将棋指し直し)

10月17日 将棋日本シリーズ準決勝

対渡辺明名人 ○

10月22、23日 竜王戦七番勝負第2局

対羽生善治九段 ●

10月29日 順位戦A級

対糸谷哲郎八段 ●

11月2日 王将戦リーグ

対佐藤天彦九段 ○

11月7、8日 竜王戦七番勝負第3局

対羽生九段 ○

11月17日 王将戦リーグ

対永瀬王座 ●

11月20日 王将戦リーグ

対羽生九段 ○

11月22日 将棋日本シリーズ決勝

対永瀬王座 ○

11月26、27日 竜王戦七番勝負第4局

対羽生九段 ○

<永瀬王座の最近10局>

10月20日 王将戦リーグ

対木村一基九段 ○

10月26日 王将戦リーグ

対藤井聡太二冠 ○

10月29日 順位戦B級1組

対松尾歩八段 ●

11月3日 王将戦リーグ

対羽生善治九段 ○

11月9日 棋王戦本戦

対広瀬章人八段 ●

11月12日 順位戦B級1組

対丸山忠久九段 ●

11月17日 王将戦リーグ

対豊島竜王 ○

11月20日 王将戦リーグ

対広瀬八段 ●

11月22日 将棋日本シリーズ決勝

対豊島竜王 ●

11月25日 棋王戦本戦(敗者復活戦)

対久保利明九段 ○

 豊島竜王の直近10局は7勝3敗、竜王戦の番勝負もありスケジュールはタイトでも好調を維持しているのはさすが第一人者だ。王将挑戦者になれば、竜王、叡王とあわせ年度内三冠の可能性がある。

 対する永瀬王座の直近10局は5勝5敗。棋王戦でも敗者復活戦で勝ち上がって年度内三冠の可能性を残しており過密スケジュールでは豊島竜王に引けを取らないが、日本シリーズ決勝やA級昇級を争う順位戦など要所で星を落としているのが気にかかる。

 総合すると調子の面からは豊島竜王やや有利と見る。

相居飛車が本命、長期戦必至

 直接対決は14回あって7勝7敗(2持将棋、1千日手)と全くの互角。ほとんどの対戦は相居飛車で角換わり、矢倉、相掛かりとさまざまな戦型になっているが直近の11月22日、将日本シリーズ決勝では後手の永瀬王座が四間飛車を用いており、どの戦型になるかは予想しづらい。

 プレーオフは先後が抽選時に決まるリーグと違って改めて振り駒で先後を決めるため、豊島竜王先手なら角換わりか相掛かり、永瀬王座先手なら相掛かりか矢倉になると予想しておく。

 どのような戦型に進んでも双方持ち時間を使い切って、千日手や持将棋もありうる長期戦になることは間違いない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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