渡辺明二冠の巻き返しなるか――第78期名人戦七番勝負中間展望

今年に入ってからタイトル戦続きの渡辺明二冠(筆者撮影)

 豊島将之名人(30)に渡辺明二冠(36)が挑戦する第78期名人戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)七番勝負は7月27、28日東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で第4局が行われる。最近の両者の調子を基に今後の展開を予想してみた。

<第78期名人戦七番勝負日程とこれまでの結果>

第1局 6月10、11日 三重県鳥羽市「戸田屋」

渡辺三冠(当時)○

第2局 6月18、19日 山形県天童市「天童ホテル」

豊島名人○

第3局 6月25、26日 東京都渋谷区「将棋会館」

豊島名人○

第4局 7月27、28日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」

第5局 8月7、8日 東京都渋谷区「将棋会館」

第6局 8月14、15日 大阪府大阪市「関西将棋会館」

第7局 8月27、28日 東京都渋谷区「将棋会館」

気になる豊島名人の連敗

 コロナ禍の影響で当初の予定から2カ月遅れて開幕した今回のシリーズはここまで豊島名人が2勝1敗とリードしているが、最近の両者の調子には少なからぬ差があるようだ。

<豊島名人の最近10局>※相手の肩書は対局当時(未放映のテレビ対局を除く)

6月21日 叡王戦七番勝負第1局

対永瀬拓矢叡王 ○(千日手指し直し)

6月23日 王座戦本戦

対糸谷哲郎八段 ○

6月25、26日 名人戦七番勝負第3局

対渡辺三冠 ○

6月30日 王座戦本戦

対丸山忠久九段 ○

7月5日 叡王戦七番勝負第2局

対永瀬叡王 持将棋(引き分け)

7月13日 王座戦本戦準決勝

対渡辺三冠 ●

7月15日 棋王戦本戦

対上村亘五段 ●

7月19日 叡王戦七番勝負第3局

対永瀬叡王 持将棋(引き分け)

7月19日 叡王戦七番勝負第4局(第3局と同日対局)

対永瀬叡王 ●

7月23日 叡王戦七番勝負第5局

対永瀬叡王 ●

 豊島名人は叡王戦七番勝負に挑戦中で、こちらは第5局まで1勝2敗、2持将棋(1千日手)と記録的な長期戦を余儀なくされている。

 互いの玉が敵陣に入る持将棋は200手を超える長手数となることがほとんどだが勝敗としてはカウントされない(通常対局では即日指し直し)。

 体力の消耗もあるのだろう、直近は4連敗と調子を崩しているように思われる。

<渡辺二冠の最近10局>※相手の肩書は対局当時(未放映のテレビ対局を除く)

5月1日 王座戦本戦

対増田康宏六段 ○

6月8日 棋聖戦五番勝負第1局

対藤井聡太七段 ●

6月10、11日 名人戦七番勝負第1局

対豊島名人 ○

6月18、19日 名人戦七番勝負第2局

対豊島名人 ●

6月25、26日 名人戦七番勝負第3局

対豊島名人 ●

6月28日 棋聖戦五番勝負第2局

対藤井七段 ●

7月4日 王座戦本戦

対行方尚史九段 ○

7月9日 棋聖戦五番勝負第3局

対藤井七段 ○

7月13日 王座戦本戦準決勝

対豊島竜王・名人 ○

7月16日 棋聖戦五番勝負第4局

対藤井七段 ●

 渡辺二冠(棋王・王将)は今年に入って王将戦七番勝負と棋王戦五番勝負のタイトル戦を並行して戦いどちらも防衛。

 6月に始まった棋聖戦五番勝負では当時17歳の藤井七段に1勝3敗で敗れタイトルを失ったが、王座戦では挑戦者決定戦に進出しており年内四冠も視野に入っている。

 番勝負以外の黒星はほとんどなく、調子はまずまずといえるだろう。

第4局は相矢倉か

 両者の直接対決は渡辺二冠の18勝13敗(2千日手)。

 第4局は渡辺二冠が先手なので藤井七段(当時)との棋聖戦五番勝負で多用した相矢倉に誘導する可能性が高いと見る。次に考えられるのが第2局でも用いた相掛かり。いずれも主導権を握りやすい戦型だ。

 豊島名人は第4局に勝つことができれば3勝1敗で初防衛に大きく前進するが、敗れれば流れは挑戦者に移る。27日からの第4局は七番勝負の行方を占う大一番になるだろう。