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豊島将之竜王への挑戦権争い中盤へ――第33期竜王戦決勝トーナメント展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
将棋界の頂点に君臨する豊島将之竜王(筆者撮影)

 豊島将之竜王(30)への挑戦者を決める第33期竜王戦(読売新聞社主催)決勝トーナメントが中盤を迎えている。

 7月24日にはランキング戦3組優勝の藤井聡太棋聖(18)とランキング戦2組2位の丸山忠久九段(49)の対局が東京都渋谷区「将棋会館」で行われる。

 史上最年少でタイトル獲得したばかりの藤井棋聖は年末までに三冠達成の可能性が残されており、社会的な注目度も高い。

 現在勝ち残っているメンバーの対戦成績を基に、挑戦権の行方を予想してみた。

藤井棋聖の難敵は久保九段か

 藤井棋聖と丸山九段は今回が初対決。丸山九段は名人2期、棋王1期のタイトル獲得歴があり、竜王戦七番勝負にも3回登場した実力者だ。とはいえ挑戦中の王位戦七番勝負でも2連勝と好調を維持し、目立ったスキの見えない藤井棋聖有利と見る。

 この対局の勝者がランキング戦1組2位の佐藤和俊七段と対局し勝者は準決勝進出(本日7月23日に行われる久保利明九段-佐々木勇気七段戦の勝者と対局)となる。五者の対戦成績は以下のとおり。

藤井棋聖0勝-佐藤七段0勝

藤井棋聖2勝-久保九段3勝

藤井棋聖1勝-佐々木七段1勝

丸山九段0勝―佐藤七段2勝

丸山九段1勝-佐々木七段2勝

佐藤七段2勝-佐々木七段2勝

久保九段2勝-佐々木七段0勝

久保九段25勝-丸山九段21敗

久保九段3勝-佐藤七段3勝

 対戦数が少ないため不確定要素は多いものの、藤井棋聖が挑戦者決定三番勝負に進む上では負け越している久保九段との対局がカギになりそうだ。

タイトル通算100期のかかる羽生九段に注目

 反対側の山で注目はやはり羽生善治九段(49)だろう。ランキング戦1組優勝の権利として羽生九段は準決勝からスタートとなり、対戦相手は佐藤康光九段(50)-梶浦宏孝六段(25)戦の勝者。三者の過去の対戦成績は以下のとおり。

佐藤九段0勝-梶浦六段0勝

羽生九段108勝-佐藤九段55勝

羽生九段0勝-梶浦六段0勝

 ランキング戦5組優勝から決勝トーナメント3連勝した梶浦六段の勢いも期待されるが、データや過去の実績からは羽生九段の三番勝負進出が有力だ。

 藤井棋聖はそこに進むまで3連勝が必要だが、棋聖戦五番勝負で見せた圧巻の内容を見る限り、ファン待望のカードが実現するかもしれない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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