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藤井聡太七段、初タイトルなるか――渡辺明棋聖に挑む第91期棋聖戦五番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
数々の記録を更新し続ける藤井聡太七段(筆者撮影)

 渡辺明棋聖(36)に藤井聡太七段(17)が挑戦する第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)は6月8日に開幕第1局が東京都渋谷区「将棋会館」で行われる。

 タイトル挑戦の最年少記録を31年ぶりに更新した藤井七段を、名人のタイトルにも挑戦中で四冠をうかがう渡辺棋聖(棋王、王将)がどう迎え撃つか、最新データを基に五番勝負の勝敗と展開を予想してみた。

コンディションは藤井七段がまさる

<第91期棋聖戦五番勝負日程>

第1局 6月8日 東京都渋谷区「将棋会館」

第2局 6月28日 東京都渋谷区「将棋会館」

第3局 7月9日 東京都千代田区「都市センターホテル」

第4局 7月16日 大阪府大阪市「関西将棋会館」

第5局 7月21日 東京都渋谷区「将棋会館」

<渡辺棋聖の最近10局>

2月20、21日 王将戦七番勝負第4局

対広瀬章人八段 ●

2月24日 叡王戦挑戦者決定三番勝負第3局

対豊島将之竜王名人 ●

2月27日 順位戦A級

対三浦弘行九段 ○

3月1日 棋王戦五番勝負第3局

対本田奎五段 ○

3月5、6日 王将戦七番勝負第5局

対広瀬八段 ●

3月13、14日 王将戦七番勝負第6局

対広瀬八段 ○

3月17日 棋王戦五番勝負第4局

対本田五段 ○

3月20日 竜王戦1組出場者決定戦

対三浦九段 ●

3月25、26日 王将戦七番勝負第7局

対広瀬八段 ○

5月1日 王座戦本戦

対増田康宏六段 ○

<藤井七段の最近10局>

3月9日 棋王戦予選

対出口若武四段 ●

3月12日 竜王戦ランキング戦3組

対高橋道雄九段 ○

3月16日 王座戦2次予選

対阿部隆八段 ○

3月20日 王位戦リーグ白組

対上村亘五段 ○

3月24日 王位戦リーグ白組

対稲葉陽八段 ○

3月31日 棋聖戦決勝トーナメント

対菅井竜也八段 ○(千日手指し直し)

4月3日 竜王戦ランキング戦3組

対千田翔太七段 ○

4月10日 王位戦リーグ白組

対菅井八段 ○

6月2日 棋聖戦決勝トーナメント準決勝

対佐藤天彦九段 ○

6月4日 棋聖戦決勝トーナメント決勝

対永瀬拓矢二冠 ○

 両者とも4月の新年度以降公式戦の対局の間隔が空いたが、最近10局の成績では渡辺棋聖6勝4敗、藤井七段9勝1敗と調子に差がある。

 渡辺棋聖は豊島将之名人に挑戦する名人戦七番勝負(6月10日開幕・2日制)も並行して戦うことになり、対局場となる地方への移動もあって過密スケジュールは必至。

 コンディション調整の難しさも含め、今回の五番勝負は藤井有利と見る。

1年4カ月前も大一番で対戦

<過去の直接対決>

2019年2月16日

朝日杯決勝

渡辺棋王(先)●-○藤井七段 ※肩書は対局当時

 両者の直接対決は昨年2月の朝日杯将棋オープン戦決勝1局のみでやはり大一番だった。このときは藤井七段が勝ち16歳で朝日杯連覇の偉業を達成した。

 戦型は先手渡辺の趣向で相雁木に進み、中盤の攻防で渡辺にチャンスも生じたが、一局を通じて巧みに指しまわした藤井が最後は押し切っている。

 今回の五番勝負も居飛車党同士の対戦なので相居飛車が予想できるが、このところ渡辺棋聖は先手番では矢倉をメーンにしている。一方、藤井七段は先手番では矢倉と角換わりを使い分けている。

 後手番では渡辺棋聖は相手の得意形を受けるだけでなく、雁木などの趣向も時折見せる「戦略家」である。対照的に藤井七段は最新流行形で素直に追随するパターンが多い。

 近年「堅さからバランス重視へ」棋風を大きく変化させ、タイトルを次々獲得した渡辺棋聖が戦型選択のカギを握っているとみていいだろう。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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