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熾烈な残留争い、生き残るのは?――順位戦A級最終日展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
第76期まで名人を3連覇していた佐藤天彦九段もA級陥落のピンチ(筆者撮影)

 第78期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)は2月27日、静岡市「浮月楼」でA級最終9回戦が行われる。

 豊島将之名人(29)への挑戦権はすでに8連勝で渡辺明三冠(35)が獲得しており注目は残留争い。

 降級枠2人のうち1人は2勝6敗の久保利明九段(44)が決まっており、B級1組陥落の可能性があるのは3勝5敗で順位上から佐藤天彦九段(32)、糸谷哲郎八段(31)、木村一基王位(46)の3人。

佐藤九段、糸谷八段は自力

 佐藤九段は勝つか、敗れても糸谷、木村のいずれかが負ければ残留。糸谷八段は勝つか、敗れても木村が負ければ残留。木村王位のみ他力で、自身が勝った上で佐藤、糸谷のどちらかが負けると残留となる。

 それぞれ最終戦の組み合わせは佐藤九段(先)-稲葉陽八段、糸谷八段(先)-久保九段、木村王位(先)-広瀬章人八段。なお先手後手はリーグ組み合わせ抽選の時点で決定している。

上位2人にも不安材料

 過去のデータから残留争いを予想してみた。

<佐藤九段-稲葉八段の対戦成績>

佐藤8勝-稲葉2勝

 2017年の第75期名人戦七番勝負では佐藤名人(当時)に稲葉八段が挑戦したが佐藤が4勝2敗で退けている。他棋戦でも圧倒している佐藤有利か。

 「前名人」の佐藤にとって気がかりは、最近10局の成績が4勝6敗(未放映のテレビ対局を除く・以下同)と不振なこと。

 戦型は相掛かりか角換わりが予想される。

<糸谷八段-久保九段の対戦成績>

糸谷3勝-久保4勝

 前期のA級では糸谷が勝っているが対戦成績は拮抗しており互角の勝負が予想される。

 糸谷の最近10局は5勝5敗の五分も直近4連敗は不安材料。

 戦型は久保の角換わり振り飛車かノーマル四間飛車を予想する。過去の対局でもそうだったが延々と中終盤のねじり合いが続く展開になりそうだ。

<木村王位-広瀬八段の対戦成績>

木村3勝-広瀬5勝(1千日手)

 広瀬が対戦成績ではリードしているが、木村先手番の成績は3勝3敗と広瀬有利も微差か。

 木村の最近10局は3勝7敗の負け越しで状況は厳しい。

 戦型は相掛かりか角換わりが予想される。

 順位だけでなくデータからも木村王位の残留は厳しいように思われるが、昨年の王位戦七番勝負で現在竜王・名人の第一人者、豊島王位(当時)からフルセットで初タイトル(史上最高齢記録)をもぎ取った勝負強さもあり、深夜までギリギリの攻防が見られることは間違いない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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