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羽生九段タイトル通算100期目指す初戦で藤井七段と激突――王位戦リーグ展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
タイトル獲得通算100期の期待がかかる羽生善治九段(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 木村一基王位(46)への挑戦者を決める将棋の第61期王位戦(新聞三社連合主催)は2月14日の稲葉陽八段-阿部健治郎七段戦で挑戦者決定リーグが開幕する。

 王位戦リーグは紅白2組に分かれ各組1位(同星はプレーオフ)が挑戦者決定戦に進むシステム。

 タイトル獲得通算100期の大記録が期待される羽生善治九段(49)と最年少タイトル獲得記録更新がかかる藤井聡太七段(17)は2月18日の初戦で激突する。

 いずれの組も強豪ぞろいだが、今回は白組のデータを中心に分析する。

白組は羽生・菅井・藤井が軸

<王位リーグ紅組>

豊島将之竜王・名人

永瀬拓矢二冠

佐々木大地五段

鈴木大介九段

佐藤秀司七段

本田奎五段

<王位リーグ白組>

羽生善治九段

菅井竜也八段

稲葉陽八段

上村亘五段

阿部健治郎七段

藤井聡太七段

<羽生九段の対戦成績と最近10局> *未放映のTV対局を除く(以下同)

対菅井八段 3勝7敗

対稲葉八段 6勝2敗

対上村五段 0勝0敗

対阿部七段 2勝1敗

対藤井七段 0勝2敗

最近10局 6勝4敗

<菅井八段の対戦成績と最近10局>

対羽生九段 7勝3敗

対稲葉八段 5勝3敗

対上村五段 0勝0敗

対阿部七段 1勝1敗

対藤井七段 2勝2敗

最近10局 8勝2敗

<稲葉八段の対戦成績と最近10局>

対羽生九段 2勝6敗

対菅井八段 3勝5敗

対上村五段 0勝0敗

対阿部七段 6勝0敗

対藤井七段 1勝1敗

最近10局 6勝4敗

<上村五段の対戦成績と最近10局>

対羽生九段 0勝0敗

対菅井八段 0勝0敗

対稲葉八段 0勝0敗

対阿部七段 0勝1敗

対藤井七段 1勝0敗

最近10局 7勝3敗

<阿部七段の対戦成績と最近10局>

対羽生九段 1勝2敗

対菅井八段 1勝1敗

対稲葉八段 0勝6敗

対上村五段 1勝0敗

対藤井七段 0勝1敗

最近10局 7勝3敗

<藤井七段の対戦成績と最近10局>

対羽生九段 2勝0敗

対菅井八段 2勝2敗

対稲葉八段 1勝1敗

対上村五段 0勝1敗

対阿部七段 1勝0敗

最近10局 9勝1敗

 白組は羽生九段、菅井八段、藤井七段を軸とした争いになりそうだ。ただし羽生九段はライバル2人との対戦を負け越しているのが気がかり。初戦の藤井七段戦がカギとなろう。

 紅組は豊島竜王・名人と永瀬二冠のタイトルホルダーが本命も、棋王戦などでトップ棋士を連破している佐々木五段、本田五段もいて混戦が予想される。

最先端の振り飛車に注目

 AI(人工知能)が居飛車を高く評価するため最近のプロ棋界、とくにトップ同士の対局では振り飛車がすっかり減ってしまった。

 しかし今回のリーグでは紅組に鈴木大介九段、白組に菅井竜也八段と2人の振り飛車党がいて、最先端の居飛車-振り飛車対抗形が見られそう。振り飛車好きのアマにとってはネット中継など観戦の楽しみが増えるだろう。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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