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韓国経由の投打の助っ人が伝統の一戦を盛り上げる

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

 来季の伝統の一戦は、韓国経由でNPBに挑戦する助っ人の活躍がポイントになりそうだ。

ローテ入り期待の速球派右腕

 巨人は勝ち頭だった山口がメジャーに挑戦し菅野の復活が待たれる中、韓国から好投手を補強した。

 サンチェスはストレートの平均球速が約150km/hという速球派で140km/h台の落ちるボールも持ち合わせている速球派右腕。KBO1年目は8勝8敗、防御率4.89だった成績を2年目の今季は17勝5敗、防御率2.62と大きく向上させた。特筆すべきは被本塁打数で昨季は145回1/3で26発を浴びていたが今季はわずかに2本。ボールの反発係数を下げたため韓国球界全体で本塁打数が激減した影響はあったもののかなり優秀な数字だ。さらに昨季は124奪三振、39四球と及第点以上だった成績が今季は148奪三振、42与四球。1つ四球を与える間にいくつ三振を奪ったかを示すK/BBも3.18から3.52へと向上させている。もちろんこれはボールの飛びやすさの影響を受けない指標。K/BBが3.5以上ということは平均して7奪三振2四球という投球を披露していたことになる。申し分ない安定感に見えるが少し気掛かりなのは28試合に登板して投球回が165回、平均すると6回に満たないところ。勝ち星を増やすにはリリーフ陣の援護も鍵になりそうだ。

ロサリオの二の舞か救世主か

 巨人が好投手を獲得すれば阪神は今季の韓国打点王を獲得した。

 サンズはメジャー通算10本塁打を放っており4番を務めたこともある。昨季途中に韓国に移籍すると25試合で12本塁打、37打点と長打力を発揮。今季は139試合で打率.303、28本塁打、113打点の好成績を残し打点王に輝いた。OPSは.939、今季のセリーグならリーグ4位に該当する打棒だ。サンズもサンチェス同様、三振と四球に関して優秀な成績を収めている。昨季は27三振6四球だったのが今季は101三振77四球。1つ三振する間にいくつ四球を選んだかを示すKK/Bは0.22から0.76へと大幅アップ。日本でも同じ成績を残すことが出来ればトップ10入り、異国の地韓国で高いアジャスト能力を示した。阪神打線はBB/Kに優れる選手が並ぶ。糸井が0.83で糸原が0.86。福留は今季こそ0.58だがNPB16年で通算0.70と高い数値を残している。サンズの加入は心強い限りだ。

 ただ球団史上最高額で契約しながら期待には応えられなかったロサリオは阪神への移籍前年、韓国で0.82とサンズ以上のBB/Kを残していた。二の舞とならず救世主となれるか。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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