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優勝すれば株主は儲かるか?

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

チームが勝てばメディアに取り上げられ露出も増える。それは親会社の株価にも影響するのか。順位と株価の関係を調べてみた。

楽天は盛り上がったが・・・

昨季、球団創設9年目にして初の日本一に輝いた楽天、ペナントレース開幕日にあたる3月28日の始値は943円。その後1000円台に乗るとシーズンを通して1100円~1300円台で推移。シーズン中での最高終値、1507円を記録したのはリーグ優勝を決めた9月26日。前後1週間の株価も1400円台を保っていた。

順位と株価は関係ありそうだが、そうとも言い切れない。終値とは通常15時の値。つまりプレーボール3時間前である。他球団も見てみると、熱狂的なファンの多い阪神の親会社・阪急阪神ホールディングスの株価は569円でペナントレースをスタート。終値の最高値は4月11日の644円。巨人相手に30イニング連続無失点を達成した3連戦の真っ只中である。5月22日を最後に終値は600円を超えず首位に立った6月2日と9日の翌日の株価にも変化は見られない。

パリーグを制した2011年のソフトバンク、2012年の日本ハムを見ても順位と株価がそれほど連動しているとは言い難い。親会社が球団を保有する目的は宣伝広告やイメージアップの一環だが、プロ野球球団を保有出来るほどの大企業ならすでに社会的認知も十分なはず。楽天は初優勝だったことと優勝セールによって大幅に売上アップが見込めることが株価上昇の要因だったのかもしれない。

株式購入のもう1つの魅力

株は売買によって利益を生み出すだけでなく、銘柄によっては持っているだけでお得な優待が受けられる。プロ野球球団の親会社だけあって公式戦のチケットが手に入る株主優待もある。

2月22日現在の各球団親会社の株式1単元の値段と株主優待

(単元とは購入に必要な最低株式数のこと。株は1株毎の取引ではなく100株や1000株毎に取引されることが多い。)

阪急阪神ホールディングス 55万5000円

阪急・阪神共通乗車券 4回乗車分

DeNA 21万1700円

内野指定席チケット1枚

ヤクルト 50万4000円

商品詰め合わせ(3月)外野自由席チケット2枚×2試合(9月)

楽天 14万6300円

公式戦招待(抽選)又は優待価格での購入、選手の直筆サイン入りグッズ(抽選)、楽天市場、トラベル、koboで使えるクーポン

ソフトバンク 78万200円

ホワイトプラン基本使用料(980円)を6ヶ月無料、対象回線サービスの基本料(またはプロバイダー料)相当分を6ヶ月無料

オリックス 15万4600円

公式戦チケット優待価格での購入、水族館やゴルフ場、飲食店での割引サービス

日本ハム 163万7000円

商品詰め合わせ又は内野指定席2枚(3月)商品詰め合わせ(9月)

巨人、中日、西武、ロッテは親会社が上場しておらず、広島には親会社がない。ただ、西武は親会社の西武ホールディングスが早ければ4月に上場。

軍資金が398万8800円あれば全ての株が買える。400万円もの大金をポンっと出すのは厳しいが、今後の値上がりという意味で期待したいのはDeNA。IT系企業を親会社に持つ新球団で株価も手頃と楽天と共通点も多い。ただし、DeNA優勝への道でも検証したが投手陣が抱える問題は想像以上に深かった。中畑監督の明るさで9月に株主を絶好調状態にしていただきたい。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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