DeNA優勝への道。投手陣の奮起あるのみ
横浜ベイスターズがDeNAベイスターズとなり2シーズンを戦った。中畑監督の明るいキャラクターに注目が集まったがチーム成績の大きな向上はならなかった。昨季が5位で、その前は5年連続で最下位。
昨季は2冠王・ブランコを中心にした打線がリーグ最多の630得点を挙げる反面、先発ローテーションを固定を出来ないまま12球団最多となる686失点を喫した。1998年以来遠ざかる悲願を達成するためには、投手陣の奮起が不可欠だ。
失点を120点減らせ
優勝ラインを80勝とすると、144試合で勝率0.555が必要。チームの総得点と総失点から妥当な勝率を導き出すピタゴラス勝率の
(得点の2乗)÷(得点の2乗+失点の2乗)
という計算式に昨季の攻撃力(630得点)を当てはめると、許される失点は563点。昨季から失点を約120点減らすことが出来れば、16年ぶりの優勝が現実味を帯びてくるということだ。
DeNA投手陣の成績で目立って悪いのが被本塁打153本と与四球551個で、どちらも12球団ワースト。
この2つはOPS(出塁率+長打率)に大きく関係する。
昨季のセリーグの被OPSと失点は
巨 .663 1位 508失点 2位
阪 .663 1位 488失点 1位
広 .686 3位 554失点 3位
中 .722 4位 599失点 4位
De .782 6位 686失点 6位
ヤ .756 5位 682失点 5位
巨人と阪神の被OPSが同じだったことを除けば、被OPSと失点の並び順は重なる。
昨季のDeNAの被OPS.782に最も近い数字を残した打者が、中日・クラーク(OPS.785)。DeNA投手陣は平均すれば、常に打席に一発のあるクラークを迎えているようなもの。中々に緊張感ある場面が目に浮かぶ。
DeNAが目指す563失点に最も近いのは、広島の554失点。被OPSは.686だった。パリーグでは西武とソフトバンクが共に562失点で、被OPSはそれぞれ.698と.668だった。
どうやら.700を切るかどうかが目安となりそうだ。
被OPS.700を切るために
DeNA投手陣が与四球を151個減らし、リーグ最少の阪神と並ぶ400個になると被出塁率は.028下がり被OPSは.754。与四球を1試合に1個以上減らすという大改善が見られてもトップの巨人、阪神とはまだ9分近い差がある。
続いては被本塁打。
DeNAを除く5球団の被本塁打の平均は118.6本。153発を浴びたDeNAが平均値を引き上げているのがわかる。こちらもリーグ最少の中日と並ぶ110本となるように被本塁打を43本減らすと、与四球分と合わせて被出塁率が.035、被長打率は.036下がる。
トータルで被OPSは.711。
与四球、被本塁打をどちらもリーグトップにするという大改革を施しても、目標の563失点以内を達成するのは中々難しそうである。優勝への道のりは思った以上に険しかった。
藤江が救世主となるか
ただ、これらは数字上の話であって実際のペナントレースでは何が起こるかわからない。
近年でも得失点差が-20だったにもかかわらず11の貯金を作った2011年のヤクルトや、得失点差+18で貯金17を積み上げ+100の阪神を振り切った2010年の中日などの例がある。得失点差以上に勝ち星を拾うためには勝てる接戦を落とさないことが絶対条件。2011年のヤクルトには林昌勇、2010年の中日には浅尾という絶対的なリリーフ投手がいた。
昨季のDeNA投手陣の防御率を見ると、4点台5点台の数字が並ぶ中、藤江の1.27という数字が光る。そして投球内容も林昌勇、浅尾に全く引けを取らない。
K/BB・・・与四球1つ当たりの奪三振数を表し3.5を超えると優秀。
DIPS・・・奪三振、与四球、被本塁打のみに注目し、守備力に影響されない投手の真の実力を示した数値。3.5を切れば優秀、3.0を切ればかなり優秀。
林昌勇(2011年)
被OPS.525
K/BB 3.14
DIPS 2.38
防御率 2.17
浅尾(2010年)
被OPS.529
K/BB 7.50
DIPS 2.31
防御率 1.68
藤江(2013年)
被OPS.520
K/BB 4.20
DIPS 2.27
防御率 1.27
林昌勇も浅尾もチーム最多登板を果たした上でこれだけの成績を残した。
昨季は25試合の登板だった藤江がフル回転した上でこのパフォーマンスを発揮出来れば終盤の戦い方はかなり安定するだろう。
最下位を脱出しCS出場に手が届きかけたDeNA、巨人1強と言われるセリーグの台風の目となれるか。