森保ジャパンはベネズエラ代表と対戦。相手は”南米最弱”ではない

プレミアリーグ時代、日本代表の吉田麻也と対峙するサロモン・ロンドン(写真:ロイター/アフロ)

 11月19日、大阪。森保ジャパンは強化の一環として、南米のベネズエラ代表と対戦する。

 ベネズエラは過去、ワールドカップ本大会に出場した経験が一度もない。コパ・アメリカ(南米選手権)もグループリーグ敗退が長らく常だった。昔、マジョルカで大久保嘉人とチームメイトだったファン・アランゴは同国史上最も実績のある有名選手だが、日本で知名度の高い選手はいない。サッカーよりも野球が盛んな国だ。

「サッカーは弱い」

 日本人にとって、その印象だろう。

 しかし、ベネズエラサッカーは本当に弱いのか?

ロンドンの登場

 近年、ベネズエラサッカーは強化を続けている。例えば、コパ・アメリカは自国開催の2007年からの5大会では、3度ベスト8に進み、2011年には4位に躍進。少なくとも、もはや“かませ犬”ではない。今年6月の大会では、ブラジルと堂々の引き分け、決勝トーナメントに進出した(日本はメンバーが暫定的だったとはいえ、グループリーグ敗退)。

 ユース年代の強化が実を結んだのが大きいだろう。2009年のU―20ワールドカップで史上初の本大会出場を決め、ベスト16に進出。当時のメンバーがアランゴのような選手とともに戦い、代表を着実に強くしていった。

 変化の象徴が、2009年U―20ワールドカップでエースだったFWサロモン・ロンドンだろう。30歳になるロンドンのプレーは、若くして高い評価を浴びた。大柄だが、スピードもあって俊敏。跳躍が高く、ボレーなどの技巧も高く、何よりポストプレーの質が高い。十代からスペインのラス・パルマスで経験を積んできた。

「南米のクライファート」

 そう言われた理由は、体格やしなやかな動きやポストワークに由来するだろうか。

 しかしなにより、決してゴール数は多くないのにもかかわらず(一方でイージーなシュートを外す癖も)、ボレーやオーバーヘッドなどアクロバティックな得点を簡単に決める点にあるだろう。今年3月、リオネル・メッシを擁するアルゼンチン戦もそうだった。長いボールに反応し、裏を抜け出すと、難しい浮き球をワントラップでコントロールし、GKの鼻先を華麗に破っている。

 ロンドンはベネズエラから出た後、スペイン、ロシア、イングランドと様々な国のクラブを渡り歩いた。共通しているのは、どのクラブでもコンスタントにゴールを記録してきた点だろう。現在は中国のスーパーリーグ、ラファ・ベニテス監督が率いる大連一方に在籍している。

 もう一人注目すべき選手は、直近のトリニダード・トバゴ戦でも1アシスト1ゴールとマン・オブ・ザ・マッチ的な活躍だった26歳のダルウィン・マチスだろう。今シーズン、リーガエスパニョーラで躍進するグラナダのアタッカー。小柄だが、サイドを切り裂くドリブルとクロスの質は高く、カットインからの右足シュートも鋭い。日本の守備も悩ますのではないか。

 他にも、セリエAのトリノでボランチとしてレギュラーを張ってきたトマス・リンコンは、代表の中心選手の一人と言える。リーガエスパニョーラのレガネスの右サイドバック、ロベルト・ロサレスも実力者。センターバックのジョルダン・オソリオもロシアのゼニトでチャンピオンズリーグに出場するなど、高いレベルの経験を積んでいる。

育成強化の結実

 そしてチームを底上げしているのは、2017年のU―20ワールドカップで決勝に進出したメンバーたちだろう。GKウィルケル・ファリニェス、DFロナルド・エルナンデス、MFジェフェルソン・ソテルドなど多くの若手選手がすでに代表入りし、ポジションをつかみつつある。J2ジェフ千葉のDFウィリアムス・ベラスケスも当時のメンバーで、今回の代表に選出された。

 なにより、現在の代表監督を務めるラファエル・ラダメルは、U―20ワールドカップで準優勝したチームも率いていた。46歳の新鋭指揮官は、世代間の融合に成功。ベネズエラ代表GKとして長くプレーし、若手の指揮でも定評を得ているだけに、躍進の気配がある。

 今、ベネズエラはすべてのベクトルが重なり合いつつあり、最強の代表チームと言えるかもしれない。

「自分たちが見据えているのはカタール(ワールドカップ)」

 スペイン2部マラガでプレーするMFファンピはそう明かしているが、それは届かない目標ではないだろう。