4月の中国スマホ出荷34%減

中国政府が堅持する「ゼロコロナ」政策の影響で、個人消費が圧迫され同国のスマートフォン需要が急速に落ち込んでいる。

中国政府系シンクタンク「中国情報通信研究院」によると、2022年4月の中国スマホ出荷台数は前年同月比34%減の1770万台だった。また、22年1〜4月の出荷台数は30%減の約8600万台にとどまった。

米アップルのルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は先の決算発表で、半導体などの供給制約によって22年4~6月期に最大80億ドル(約1兆800億円)の売り上げ機会を逃す可能性があると述べた。中国のスマホメーカー小米(シャオミ)は22年1〜3月期のスマホ売上高が、1年前に比べ11%減少したと述べた。小米はその理由として、ゼロコロナ政策による物流の停滞や販売店の閉鎖、部品不足を挙げた。

また、中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は22年5月13日、上海市のロックダウン(都市封鎖)の影響で顧客への納品に遅延が生じていると明らかにした。

SMICは、世界のスマホメーカーが22年に生産する台数が業界の事前予測より約2億台減少するとみている。SMICの趙海軍・共同CEO(最高経営責任者)は「そのほとんどが中国のスマホメーカーによるものだ」と話した。

中国の成長減速、世界メーカーに打撃

中国スマホ需要の急速な減少は、世界第2位の経済大国の成長減速と、世界の電子機器メーカーへの打撃の要因になると米ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。台湾の調査会社トレンドフォースによると、中国市場は世界スマホ出荷台数の約5分の1を占めている。

中国では、ゼロコロナ政策で上海などの産業中心地でロックダウンが敷かれた。これにより、サプライチェーン(供給網)や物流網が混乱したほか、消費を抑制し同国の経済全体に影響を及ぼした。中国の22年4月の小売売上高は前年同月比11%減。2カ月連続の減少で、20年3月以来最大の落ち込み幅だった。

低価格端末メーカーに影響及ぶ

中国TFインターナショナル証券アナリストのミンチー・クオ氏などの専門家によると、需要減による打撃を最も早く、最も大きく受ける可能性があるのは低価格端末だという。所得水準が低く、より安価なスマホを購入する傾向のある消費者層は、先行き不透明の経済状況に敏感で、支出を抑える人が多いという。

これにより打撃を受けるスマホメーカーは、中国の小米やOPPO(オッポ)、vivo(ビボ)など。アップルの製品ラインアップは高価格帯であるため影響を受けにくい。だが、比較的安価な「iPhone SE」は打撃を受ける可能性があるとクオ氏は指摘する。

半導体不足とウクライナ侵攻に続く新たな問題

世界のスマホメーカーとそのサプライヤー(部材メーカーなど)はこれまで、半導体不足やウクライナ侵攻の影響といった問題に直面していたが、これに中国での需要減という新たな問題が加わった。

トレンドフォースによると、22年1〜3月の世界スマホ市場は1年前から7%縮小した。同社は今年に入って、世界市場の予測値を2度下方修正している。22年における全メーカーの合計生産台数は従来予測よりも5000万台少ない13億3000万台になるとみている。

一方、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は22年4月、スマホなどのコンシューマーエレクトロニクス製品用半導体の事業成長が鈍化していると述べていた。

ロイター通信によると、iPhoneの生産の大半を手がける台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の劉揚偉・董事長(会長に相当)は先の決算発表で、「現在、市場には多くの不確定要素がある」と述べ、その要因として、新型コロナや地政学リスク、インフレなどを挙げた。

鴻海は、22年4〜6月期の、スマホを含むコンシューマーエレクトロニクス事業の売上高が前年同期から減少するとみている。同事業部門の売上高は鴻海の全売上高の半分以上を占めるという。

  • (このコラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2022年5月31日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)