米調査会社のガートナーが公表したリポートによると、2021年4〜6月期の世界パソコン出荷台数(速報値)は約7160万台で、前年同期からの伸び率が4.6%にとどまった。パソコン需要は新型コロナウイルス前の水準を超えて推移している。しかし、21年1〜3月期と比較すると大幅に鈍化した。

「過去20年で最大の伸び」から一転

今年4月にガートナーが公表していた21年1〜3月期の世界パソコン出荷台数は約6990万台で、前年同期から32%増。この伸び率は2000年に統計を取り始めて以来最大だった。

昨年初頭は、新型コロナの影響でサプライチェーン(供給網)の操業や販売店の営業が一時停止となり、著しく減少していた。それに対し、今年初頭は在宅の広がりによる需要増や、前年の反動で大幅増を記録した。

だが、こうしたパンデミックによるパソコンブームは、世界的な半導体不足によって抑制されている。ガートナー調査ディレクターの北川美佳子氏によると、半導体不足やその後に続いた他の部品の遅延により、法人向けノートパソコンの供給リードタイムが最大120日に延びた。

また部品価格が上昇しており、これが完成品の価格上昇にもつながっている。割高な販売価格によってパソコン需要は今後半年から1年程度、低下すると北川氏はみている。

アップル約2割増と伸び目立つ

21年4〜6月期のメーカー別出荷台数を見ると、首位は中国レノボ・グループで、前年同期比3.6%増の1727万8000台。2位は米HPで同11.3%減の1430万1000台。レノボの伸び率は市場全体のそれを下回った。HPは法人向けノートパソコンの部品調達で苦戦し、北米とEMEA(欧州・中東・アフリカ地域)の台数が落ち込んだ。

一方、3位の米デル・テクノロジーズは1225万6000台を出荷し、同14.4%増と2桁増を達成。部品不足でノートパソコンが1桁増にとどまったものの、デスクトップ機は同40%超増加した。

4位以降を見ると、米アップルが同19.7%増の608万6000台、台湾・宏碁(エイサー)が同8.3%増の437万5000台、台湾・華碩電脳(エイスース)が同16.0%増の426万7000台。3社はいずれも市場全体の伸び率を上回った。前四半期に続きアップルの伸びが目立つ。

ガートナーによると、アップル、エイサー、エイスースが好調だった要因は、消費者向けパソコンの安定供給にある。消費者向けはより柔軟なシステム設計が可能で、部品不足の問題を回避することが比較的容易。この状況下で法人向けモデルと比較し制約を受けにくいとガートナーは指摘している。

米国3.7%減、日本22.4%減

21年4〜6月期の前年同期比増減率を地域別に見ると、米国が同3.7%減。主な要因は部品不足。法人向けノートパソコンが打撃を受けた。同国のノートパソコン出荷台数は同9.5%減で、4四半期ぶりに減少した。

EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は同1.9%減。同地域では20年に台数が大幅に伸びてピークに到達。21年4〜6月期は出荷や在庫、需要が調整期に入ったという。

アジア太平洋地域は16.5%増と好調だった。

ただし日本は同22.4%減と大幅減。日本政府が進める「GIGAスクール構想」によって、ほぼ全国の小中学生に1人1台のパソコンが配られ、計画の第1フェーズが21年1〜3月期に完了。同4〜6月期にその反動が出たという。日本では過去1年間、この取り組みがパソコン市場の成長エンジンだったとガートナーは分析する。

  • (このコラムは「JBpress Digital Innovation Review」2021年7月14日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)