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アップル、ワイヤレスイヤホン新モデルを年内発売か、アマゾンによるMGM買収に続くM&Aとは?

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
画像出典:米Apple

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]アップル、ワイヤレスイヤホン「AirPods」新モデルを年内発売か

米アップルがワイヤレスイヤホンの新モデルを準備中だと、米ブルームバーグが5月28日に報じた

普及モデル「AirPods」の新機種(第3世代)と上位モデル「AirPods Pro」の新機種(第2世代)を計画しているという。AirPodsは現行の上位モデルと同じくイヤホン軸が短くなり、充電ケースが刷新される。年内に発売する見通し。

上位モデルは、加速度センサーを刷新し、フィットネス機能を追加するという。2022年の発売が見込まれている。年間売上高が300億ドル(約3兆2800億円)以上に上り、アップルの全売上高の約1割を占める「ウエアラブル、ホームおよびアクセサリー」事業の業績をさらに向上させる可能性があると報じている。

[2]アップル、ポッドキャストのサブスク、開始を6月に延期

アップルがポッドキャスト(音声番組)のサブスクリプション(継続課金)サービスの開始時期を延期すると、ロイターなどが5月29日に報じた

これまでの数週間、一部クリエイターのコンテンツ配信や投稿用システムへのアクセスに遅延が生じた。開始時期を6月に延ばすという。現在はクリエーターから報告を受け付け、問題解決に取り組んでいる。

同社は21年4月、「アップルポッドキャスト」のサブスクリプションを21年5月から世界170カ国・地域で提供し始めると明らかにしていた。配信企業から年間19.99ドル(約2200円)を受け取り、初年に課金収益の30%を、2年目以降に同15%を徴収する。

[3]再編進むメディア・エンタメ業界、アマゾンによるMGM買収に続くM&Aとは?

米国でメディア・エンターテインメント業界の再編が進む中、次の大規模M&A(合併・買収)の対象は有料放送局などを持つ映画製作・配給会社米ライオンズゲート・エンターテインメントなどになる可能性があると、米CNBCが5月29日に報じた

米通信大手AT&Tは5月17日、傘下のメディア事業であるワーナーメディアを分割し、同業大手の米ディスカバリーと経営統合することで合意したと発表した。米アマゾン・ドット・コムは5月26日、米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を買収することで、最終合意に達したと明らかにした。

メディア・エンタメ業界では、ウォルト・ディズニーが19年に米21世紀フォックスの映画・テレビ部門を取得し、動画配信のHulu(フールー)も買収した。傘下に映画大手パラマウント・ピクチャーズを持つバイアコムは19年に米メディア大手のCBSと再合併した。また、映画大手ユニバーサル・ピクチャーズを持つNBCユニバーサルの親会社である米ケーブルテレビのコムキャストは衛星放送の英スカイを買収した。

巣ごもり消費の拡大で動画配信が活況を呈す中、今後考えられる組み合わせは、コムキャスト傘下NBCユニバーサルによるライオンズゲートの買収だという。NBCユニバーサルは自社の動画配信「ピーコック」とライオンズゲートの動画配信「スターズ」を組み合わせるなどし、動画配信3強の米ネットフリックス、ディズニー、アマゾンに対抗する可能性があるという。

また、ワーナーメディアとディスカバリーが経営統合して誕生する新会社と、バイアコムCBSが合併する可能性があるとも報じている。ワーナーメディアは「HBOマックス」、ディスカバリーは「ディスカバリー+」という動画配信サービスを手がける。バイアコムCBSの動画配信サービスは「パラマウント+」。いずれの会員数も先行する3社と比べて少ないという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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