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ネトフリやディズニー、アマゾンなど輸出モデルから脱却、フェイスブックはClubhouse対抗に商機

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]NetflixやDisney、Amazonなど、ハリウッドの「輸出」モデルから脱却

米ウォール・ストリート・ジャーナルは4月22日、米Netflix(ネットフリックス)や米Walt Disney(ウォルト・ディズニー)、米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)などの動画配信大手が従来と異なる方法で海外展開を加速させていると報じた

米国で制作した映画やドラマを輸出し、字幕を付けたり、吹き替え版を制作したりする従来のハリウッドモデルから脱却しつつあるという。

自社の動画配信を通じて世界の消費者と直接つながった各社は、数十億ドル(数千億円)を投じ、現地言語による現地文化に合わせたオリジナルコンテンツを制作している。背景には米国動画配信市場の飽和がある。

アマゾンでは2017年以降、現地言語で制作する作品が毎年2倍のペースで増えている。同社のオリジナル作品制作部門「Amazon Studios」の幹部は「日本やブラジルで成功したければ、日本語による日本人向け番組や、ポルトガル語によるブラジル人向け番組が必要だ」と述べたという。

[2]フェイスブックがClubhouse対抗サービスに商機見いだす

米ウォール・ストリート・ジャーナルは4月22日、米フェイスブックが「ソーシャル・オーディオ」に商機を見いだしていると報じた

フェイスブックは2021年4月19日、音声で交流できるサービス「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」を開発中だと明らかにした。21年初めに大きな話題になった音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」の競合サービスだ。

画像出典:米Facebook
画像出典:米Facebook

今夏にもフェイスブックのアプリや対話アプリ「メッセンジャー」内ですべてのユーザーが利用できるようになるとしている。

クラブハウスの短期間での成長を鑑みると、この分野は将来有望だという。クラブハウスが米アップルのアプリストアに登場したのは20年9月。21年2月には月間ダウンロード件数が1010万件へと急増した。

翌3月は170万件と減少したが、その理由は知名度がまだ低いからだという。3月時点で83%の米国人がクラブハウスを全く知らない、あるいはよく知らないと答えた。

フェイスブックの新サービスはまず、共通の趣味や興味を持つ人同士で交流する「グループ」内に試験導入する。「グループ」の月間利用者数は18億人で全利用者数の64%。

米ツイッターも同様のサービスをテストしているが、フェイスブックは利用者基盤の規模で有利な立場にあると報じている。

[3]アマゾン、自動精算の大型スーパーマーケット出店へ

米アマゾン・ドット・コムが自動精算システム導入の大型スーパーマーケットを出店すると、米ブルームバーグ米CNBCが4月22日に報じた。行政当局に提出した出店計画書類で、概要が明らかになったという。

直営のレジなしコンビニエンスストア「Amazon Go」と同様に、店内の天井と商品棚に設置した数百基のカメラやセンサーで顧客と商品の動きを捉える。スマートフォンの専用アプリを入り口ゲートでかざして入店した顧客が、買いたい物を棚から取って店から出ると精算が完了する。

アマゾンが「Just Walk Out」と呼ぶこのシステムは、これまでコンビニなどの小規模な店舗に導入していた。大型店への導入は初めてで、アマゾンは技術的な課題を解決したようだと報じている。

米東部コネティカット州ブルックフィールドに食品スーパー「Amazon Fresh」の新店舗を建設中。アマゾンは2020年8月に同スーパーを米ロサンゼルス市内に初出店し、レジ精算不要のショッピングカート「Dash Cart(ダッシュカート)」を導入した。

その後店舗数を増やし、現在カリフォルニア州とイリノイ州で計12店舗を営業中。店舗面積は約3300平方メートル。傘下の高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」と同規模だという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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