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フェイスブックが音声SNS開発中、テスラCEOは衝突死亡事故と自動運転の関連を否定

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
画像出典:米Wall Street Journal

筆者が注目した海外発最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]フェイスブックが音声SNS開発中、短尺オーディオやポッドキャストも

米フェイスブックは4月19日、音声で交流できるサービス「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」を開発中だと明らかにした。今夏にもフェイスブックのアプリや対話アプリ「メッセンジャー」内ですべてのユーザーが利用できるようになるとしている。

画像出典:米Facebook
画像出典:米Facebook

米CNBCなどの米メディアは、今年初めに米シリコンバレーで大きな話題になった音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」に似ていると報じている

ライブオーディオルームはまず、共通の趣味や興味を持つ人同士で交流する「グループ」内に試験導入する。主催者が参加者に課金できる仕組みも用意する計画。サブスクリプション(定額課金)などを通じてクリエーターに収益化の手段を提供するという。

また、フェイスブックは「Soundbites(サウンドバイツ)」と呼ぶ短尺の音声コンテンツをニュースフィード内で提供する。「オーディオクリエーター基金(Audio Creator Fund)」を通じてクリエーターを資金面で支援する。

フェイスブックのアプリ内でポッドキャスト(音声番組)機能を提供することも明らかにした。ユーザーが興味を持つポッドキャストを探しやすくし、アプリ内で聴取したり、友人にシェアしたり、コメントを付けたりできるようになるという。サウンドバイツとポッドキャストは数カ月以内に始めるとしている。

[2]テスラCEO、衝突死亡事故と自動運転支援の関連を否定

米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は米テキサス州で4月17日に起きた衝突死亡事故についてツイートし、同社の自動運転支援システム「オートパイロット」と事故の関連を否定した。米CNBC米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが同19日に報じた。

同17日夜、テキサス州ヒューストン近郊で高速走行していたテスラの電気自動車(EV)が道路から逸れ、木に衝突して炎上。乗車していた男性2人が死亡した。地元警察によると、2人は助手席と後部座席で発見された。事故当時、運転席には誰もおらず、自動運転機能を使っていた可能性があるという。

マスクCEOはツイッターへの投稿で、「これまでに回収されたデータログは、オートパイロットが作動したことを示していない。作動に必要となる路面の車線表示がこの道路にはなかった」と述べた。

CNBCによると、テスラ車にはオートパイロットが標準搭載されている。一方、テスラは1万ドル(約110万円)の追加費用で「FSD:Full Self Driving(完全自動運転)」システムをオプション提供している。マスクCEOによると、事故を起こしたテスラ車はこのオプションを購入していなかったという。

オートパイロットとFSDはいずれも日常のすべての走行を制御するものではなく、テスラは能動的な監視の下で使用するよう注意喚起しているとCNBCは報じている。オートパイロットは必ずしもすべての道路標示を認識するとは限らない。アスファルトのひび割れ補修跡や自転車レーンと他の標示を混同する場合があるという。

この事故を受け、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)と米運輸安全委員会(NTSB)が調査を開始した。

[3]アマゾンの労組結成投票否決巡り、組合側が異議申し立て

米アマゾン・ドット・コムで行われた労働組合結成の従業員投票が否決されたことを巡り、結成を支援していた小売り産業の労組「RWDSU」が異議を申し立てた。

米CNBCが4月19日に報じた。アマゾン側が違法に干渉したとして、全米労働関係委員会(NLRB)に投票を無効にするよう求めている。

アラバマ州の物流施設では、2021年2月に労組結成の是非を問う郵便投票が始まった。21年4月9日にNLRBが集計結果を発表。従業員数約5800人の投票総数は約3000票。賛成738票に対し、反対が1798票と半数を上回り、組合結成は大差で否決された。

この結果を受けRWDSUは、「アマゾンは混乱や強制、報復などの雰囲気を作り出して従業員の選択の自由に介入した」と批判。計23項目の異議理由を記した書面を提出した。

アマゾン側は「賛成したのはごくわずか。RWDSUはこれを受け入れず、計略遂行のために事実をねじ曲げている」と反論した。

NLRBは数週間以内に公聴会を開く見通し。アマゾンとRWDSUの双方が証拠を提出できるという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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