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グーグルの広告収入、旅行業界の影響受け初の減少へ コロナ禍で強みを見せるアマゾン

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、米グーグルの今年の広告収入はマイナス成長に転じる見通しだと、米経済ニュースのCNBC米ウォールストリート・ジャーナルなどが米調査会社イーマーケターのレポートを基に報じている。

グーグル5.3%減、調査開始以来初の減少へ

 これによると、グーグルの2020年における米国広告収入は、395億8000万ドル(約4兆2100億円)となり、前年比で5.3%減少する見通し。

 グーグルの年間広告収入が前年実績を下回るのは、イーマーケターが調査を始めた2008年以降初めてだという。

 イーマーケターはその要因として、旅行関連企業の業績低迷を挙げている。グーグルのネット広告事業は旅行業界への依存度が高く、打撃を受けているという。

 この市場でグーグルに次いで高いシェアを持つのは米フェイスブックだ(図1)。フェイスブックの今年の米国ネット広告収入は、前年比4.9%増の314億3000万ドル(約3兆3400億円)となる見通し。

 昨年1年間は前年比26.1%増と、高い伸びで推移したが、今年はそれほどの成長は見込めないとイーマーケターは予測している。

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 また、フェイスブックはヘイトスピーチ(憎悪表現)や虚偽情報などのコンテンツに対し、適切な行動を取っていないと非難されており、同社への広告出稿を中止する企業が相次いでいる。

アマゾン23.5%増

 一方で、米アマゾン・ドット・コムは昨年、103億2000万ドル(約1兆1000億円)と、初めて100億ドルの大台を突破した。これが今年は前年比23.5%増の127億5000万ドル(約1兆3600億円)になる見通しだという。

 アマゾンが売り上げを大きく伸ばす中、首位のグーグルのシェアは低下するとイーマーケターはみている。昨年の3社のシェアは、グーグルが31.6%、フェイスブックが22.7%、アマゾンが7.8%だった。

 今年はグーグルが29.4%に低下する一方、フェイスブックとアマゾンは、それぞれ23.4%と9.5%に上昇するという。

ネット広告の比率上昇へ

 ただ、米国広告市場全体の売上高は、前年比約7%減となる見通しで、グーグルの落ち込み幅はそれよりも小さいと指摘。ネット広告は他の広告媒体に比べ新型コロナの影響が比較的小さいという。

 イーマーケターによると、今年のネット広告市場は約2%成長する見通し。これに対し、テレビ広告は15%減、印刷媒体は25%減と予測。

 米国の広告市場全体に占めるネット広告の比率は昨年の55%から60%に上昇すると、同社はみている。

  • (このコラムは「JBpress」2020年6月24日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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