アマゾン社員の抗議、「私たちを黙らせることはできない」と彼ら彼女らが主張する意味考えませんか

(写真:ロイター/アフロ)

ブログやツイッターで抗議活動

 今年1月下旬、米アマゾン・ドット・コムの350人以上の従業員がインターネット上で同社に対する抗議活動を繰り広げた。

 ブログサービスの「Medium」に従業員がそれぞれ氏名と役職を明かし、抗議文を掲載。ソフトウエアエンジニアのほか、マーケティングや求人、営業、顧客サービスなどの多岐にわたる分野の従業員が参加した。

 同社の地球温暖化対策への取り組みについて公の場で批判した2人の従業員に対し、アマゾンが警告したことが事の発端だ。アマゾンの服務規程には、同社の事業活動を管理者の許可なく公の場で語ることを禁ずるというものがある。

 2人の従業員は、アマゾンの人事担当からの書簡で、「再び違反を犯した場合、雇用契約の解除も含めた正式な是正処置を取る」と言い渡されたという。

 このニュースは、くしくもジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)がオーナーの米ワシントン・ポスト紙が最初に報じて話題になった

 抗議活動は、2人の従業員を擁護する目的で始まったとされる。従業員らは1月28日にツイッターに動画を投稿し(本稿執筆の3月15日時点では削除されている)、「私たちを黙らせることはできない」というメッセージも発信した。

「社外コミュニケーション・ポリシー」

 アマゾンの広報担当者によると、同社では地球温暖化の問題などについて論じ合う社内グループに参加するよう促しているという。全社会議では従業員に発言の機会を与えている。従業員は幹部らによる“オフィス・アワー”や昼食会にも参加できるとしている。

 その一方で、社外コミュニケーション・ポリシーという服務規程があり、従業員が会社や他の従業員の仕事について、公の場で非難したり、事実を曲げて述べたりすることを禁じている。

「生ぬるい地球温暖化対策」

 抗議文の中には、2人の従業員を擁護する形で、アマゾンの地球温暖化対策が生ぬるいと批判しているものもある。

 ベゾスCEOは昨年9月、2040年までに事業活動からの二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを明らかにした

 現在、40%の再生可能エネルギー使用比率を2024年に80%に高め、2030年に100%とする目標も掲げた。また出資する電気自動車(EV)メーカーに配送用EVを10万台発注。自社ファンドを通じて森林や湿地帯の再生・保全に1億ドルを投じる計画も明らかにした。

 ところが、米マイクロソフトは1月16日、2030年までにCO2排出を実質マイナスにする「カーボン・ネガティブ」を目指すことを明らかにした。2050年までに、1975年の創業以降の排出量に相当するCO2を削減するという、より踏み込んだ対策を打ち出している。

プライバシー侵害や過酷な労働環境も問題視

 アマゾンの従業員の不満はそれだけにとどまらないようだ。例えば、あるソフトウエアエンジニアは、クラウドサービス事業(AWS)が米移民税関捜査局(ICE)に協力し、難民や亡命者を不当に扱っていると批判している。

 前述したブログサイトには、同社が2018年に買収した、セキュリティーカメラ付き玄関ドアチャイムを手がける米リングのプライバシー侵害を問題視するものや、倉庫従業員の過酷な労働環境を非難するものもある。

  • (このコラムは「JBpress」2020年1月29日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)