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アップルCEO、昨年はiPhone販売低調で報酬が大幅減

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:REX/アフロ)

 米メディアの報道によると、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)の2019年度の報酬が前年度から大きく減少したという。アップルが先ごろ米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになった。

3つの報酬の合計26%減

 それによると、2019年9月末までの1年間のクックCEOの給与は300万ドルで前年度と同じだった。一方で、賞与は767万ドルとなり、前年度の1200万ドルから減少した。

 また、アップルはクックCEOに対し、パーソナルセキュリティサービスの費用やプライベートジェットなどの費用に充てる約88万5000ドルの「その他報酬」を支給している。後者は、取締役会がクックCEOに対し、すべての出張旅行と個人旅行の際にプライベートジェットを利用するように義務付けている。安全上や効率性といった理由があるからだという。

 そしてこれら3つの報酬を合わせると、約1160万ドル(約12億5000万円)となるが、この金額は前年度から約26%少ない。

前年度の賞与は過去最高

 これについて、米ウォールストリート・ジャーナルはアップルの売上高の半分以上を占める「iPhone」の販売が低調だったためだと伝えている。

 アップルでは、2017年11月に発売したiPhoneの10周年モデル「iPhone X」が好調だったため、2018年度の売上高が過去最高の2656億ドルになった。これによりクックCEOには1200万ドルという過去最高の賞与が支給された。

 その後、同社は2019年度の売上目標を前年度から3%下回る2566億ドルに設定。同年度の営業利益目標は同15%下回る601億ドルに設定した。2019年度の実際の売上高と営業利益は、それぞれ2602億ドルと639億ドルとなり、これら目標金額を上回った。

 しかし、これは、同社経営トップの賞与を引き上げるほどの業績結果ではなかったと米CNBCは伝えている。

周期的な業績変動

 アップルはここ最近、iPhoneへの依存から脱却するため、サービスなどの他の事業分野に力を入れている。これが奏功し、2019年10〜12月期は、アプリや音楽の配信などの「サービス」の売上高が前年同期比17%増加した。金額は127億1500万ドルで、四半期として過去最高を更新した。

 しかし、それでもiPhoneの影響は依然として大きく、アップルには周期的な業績変動傾向があるとウォールストリート・ジャーナルは指摘している。

 3年に1度のデザイン大幅変更の翌年は、業績が大きく伸びるものの、その後の2年は前年実績を下回るという。

株式報酬除いても従業員の200倍

 なお、クックCEOには上述した3つの報酬のほかに、はるかに規模が大きい株式報酬がある。2019年度は1億1350万ドル相当だった。これにより同氏の報酬総額は1億2500万ドル(約135億円)になる。

 CNBCによると、アップルの従業員の報酬中央値は5万7596ドル(約620万円)。クックCEOの報酬額は、株式報酬を除いたとしても従業員中央値の201倍になるという。

  • (このコラムは「JBpress」2020年1月7日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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