アップル、“時すでに遅し”? AIスピーカーのシェア一向に伸びず

(写真:ロイター/アフロ)

 米国の市場調査会社CIRP(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ)のレポート(PDF書類)によると、米国におけるAIスピーカー(スマートスピーカー)の利用台数は、昨年(2018年)12月末時点で6600万台になった。

米国の利用台数、83%増加

 この台数は3カ月前、5300万台だった。このときは利用台数の伸びが減速傾向にあったが、その後の年末商戦で、市場は再び活気付いた。昨年12月末時点の利用台数は、その1年前に比べ83%増加した。

 メーカー別利用台数シェアは、米アマゾン・ドットコムが70%、米グーグルが24%、米アップルが6%で、こちらは、ここ数四半期、大きな変化がない。

 この市場では、「Amazon Echo」シリーズと、「Google Home」シリーズが低価格帯から高価格帯までのさまざまな製品を用意しており、消費者の選択肢が広がっている。

 一方で、アップルの「HomePod」は、349ドル(約3万9000円)の高級モデルのみ。この価格帯では、おそらくシェアを大きく伸ばすことはできない。

 アップルがシェアを伸ばすためには、アマゾンの「Echo Dot」(日本では約6000円)や、グーグルの「Google Home Mini」(日本では約6500円)の価格帯に近い廉価モデルを市場投入する必要があると、CIRPは指摘している。

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複数台持ちの世帯も増加中

 米国では、複数台のAIスピーカーを所有する世帯も増加の一途をたどっている。2台以上を所有する世帯の比率は、2017年12月末時点で18%だったが、昨年12月末は、35%となった。

 家庭の各部屋それぞれに、端末を置いてもらい、音声アシスタントという自社プラットフォームの利用を拡大するという戦略を最初に打ち出したのはアマゾンだ。

 これが奏功し、アマゾンのAIスピーカーを2台以上持つ世帯の数は1年前、グーグル製品を2台以上持つ世帯の2倍となった。

 だが、その後、グーグルもアマゾンの戦略に追随。今では、アマゾン、グーグルいずれの製品も、利用者のほぼ3分の1が、2台以上持つようになった。

複数台持ちには傾向がある

 こうした中、アップルは、今後シェアを伸ばしていけるのだろうか。別の調査会社である米パークスアソシエイツのレポートを見ると、状況は厳しそうだ。

 これによると、AIスピーカーは、メーカーへの消費者忠誠度が高い家電製品となっている。AIスピーカーを所有する米国世帯のうち、97%が1社のみの製品を所有しているという。

 パークスアソシエイツの調査では、所有世帯の3分の2がアマゾンの製品を、ほぼ3分の1がグーグルの製品を所有している。そして、これらの世帯に最も人気があるのは、廉価モデルのEcho DotとGoogle Home Miniだ。

 この市場は、誕生して間もないため、まだ成長の余地が十分にある。そのため、メーカーは今後、より高価格の端末を購入してもらえるようになるだろうと、パークスアソシエイツは分析している。

 一見、アップルにもシェア拡大のチャンスがありそうな分析だ。

 しかし、前述したとおり、消費者はすでに所有しているAIスピーカーと同じメーカーの製品を引き続き購入する傾向がある。このことを考えると、アップルは、時すでに遅し、という状況なのかもしれない。

  • (このコラムは「JBpress」2019年2月7日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)