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「二つ折りGalaxyスマホ」が登場か、サムスンが新奇性のある製品を開発したい理由

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米メディアの報道によると、韓国サムスン電子は現在、本体を折り畳むことができるスマートフォンを開発中だという。

操作しやすく、持ち運びやすく

 その端末はサムスン社内で「Winner(勝利者)」というコードネームで開発が進められている。ディスプレーは7インチで、小型のタブレット端末に似ている。

 これを財布のように中央で二つ折りにすることができる。折り畳んだ際は表面にあるバー状(縦長の小さな)ディスプレーで各種の情報を確認できると、事情に詳しい関係者は話している(ウォールストリート・ジャーナルザ・バージマッシャブル)。

 これまでも、他のメーカーが折り畳み式のスマートフォンを発売したことはあった。だが、それらの製品は、内側の2つのディスプレーが中央のフレームで分割されるデザイン。

 これに対しサムスンが開発中の新モデルは、2つのディスプレーがほぼ一体化する。利用時はタブレットのように大きな画面で操作でき、折り畳むと、手のひらや小さなポケットにすっぽり収まる。

 サムスンはこの製品をまず、モバイルゲーム・ユーザーなど、特定の利用者層に向けて販売する。それが成功すれば、来年後半にも本格的な販売に移行する計画という。

旗艦モデルの販売計画に狂い

 ウォールストリート・ジャーナルによると、サムスンがこうして新奇性を追求する製品を市場投入したいと考える背景には、同社が今、直面している市場環境がある。

 サムスンは先ごろ、今年4〜6月期決算を発表し、モバイル事業の営業利益が前年から34%減少したことを明らかにした。今年3月に発売したスマートフォンの旗艦モデル「Galaxy S9」が計画どおりに売れなかったことが、その主な要因だ。

アップル、旗艦モデルの生産計画を見直し

 旗艦モデルの販売が計画を下回ったのは、サムスンだけではないようだ。先ごろは、アップルが今秋発売するiPhoneについて、その生産計画を見直したと報じられた。今年生産されるiPhoneは、その大半の台数が、液晶ディスプレー(LCD)を備えるものになる見通しだ。

 アップルの旗艦モデル「iPhone X」は、OLED(有機EL)ディスプレーを搭載する。一方、下位モデルの「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」や旧モデルは、いずれも液晶ディスプレーを搭載する。

 報道によると、アップルは当初、OLEDモデルと液晶モデルの生産比率をほぼ、同じにする計画だった。しかし、消費者がより安価なiPhoneを好むと見て、液晶モデルをより多く生産する計画に切り替えた。

 米調査会社IDCによると、昨年1年間のスマートフォン世界出荷台数は、前年比で0.3%減少した。年間出荷台数が前年実績を下回ったのは、スマートフォン市場の歴史で初めてのこと。今後もこの傾向は続き、今年の出荷台数は同0.2%減少すると、IDCは見ている(図1)。

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 サムスンは、出荷台数ベースで世界最大のスマートフォンメーカー。こうした状況の中、同社は人目を引く端末で、低迷するモバイル事業を活気づかせたい考えだとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

(このコラムは「JBpress」2018年7月20日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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