アップル、タブレットの人気を盛り返せるか?

(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルが11月3日に発売したiPhoneの10周年モデル「iPhone X」は、売れ行きが好調だと言われている。最新のネットトラフィック解析レポートを見ても、この端末の利用シェアは伸びているようだ。

iPadも顔認証「Face ID」搭載か

 そうした中、アップルは今、iPhone Xの特徴となっている最新技術を取り入れた、「iPad」を開発していると、米ブルームバーグが伝えた。

 これによると、次世代iPadの少なくとも1つのモデルでは、ディスプレーの上下部分が本体を覆うデザインが採用される。そのため、iPhone X同様にホームボタンがなくなる。

 そして、ホームボタンに代わって採用されるのが、iPhone Xに搭載されている顔認証技術「Face ID」。利用者はこれを使って、端末のロックを解除したり、決済時の認証に利用したり、アニ文字と呼ばれる、顔の表情を基に作成される絵文字を利用したりすることができる。

 この次世代iPadのディスプレーサイズは、6月に発売された「iPad Pro」の10.5インチモデルに近い。アップルはこれを、2018年の後半に発売する可能性があると、事情に詳しい関係者は話している。

 もし、この情報が正しければ、2010年にその初代機が発売されたiPadは、初めてデザインが大幅刷新されることになる。

iPadの販売台数はピーク時の4割

 アップルにとって、iPadは、販売台数ベースでiPhoneに次ぐ規模の事業。iPadは、かつて、売り上げベースでも同社第2位の事業だった。しかし、タブレット端末市場全体の需要減を背景に、今はかつてのような勢いはない。

 同社の2017年7~9月期の業績を見ると、この期間におけるiPadの売上高は、48億3100万ドルで、パソコン(Mac)の売上高である71億7000万ドルを大きく下回る。

 また、ドイツの調査会社スタティスタがまとめたデータを見ると、iPadの年間売上高は近年右肩下がりで推移。これに対し、「Apple Music」や「Apple Pay」「iTunes」「App Store」といったサービス事業の売上高が急速に伸び、iPadを上回っている。

iPadの売上高推移、サービスの売上高を大きく下回る
iPadの売上高推移、サービスの売上高を大きく下回る

インフォグラフィックス出典:ドイツStatista

 iPadの四半期販売台数は、2013年10~12月期に過去最高の2600万台を記録したあと、一転して右肩下がりで推移し、2017年1~3月期は、13四半期連続の前年割れを記録した。

 これが、今年4~6月期は前年同期比15%増となり、3年半ぶりにプラスに転換。今年7~9月期も同11.4%増と、ようやく2四半期連続で前年実績を上回った。ただし、その台数は、1032万6000台と、ピーク時の4割にとどまるという状況だ。

アップルは依然業界トップ

 ただ、アップルは今もタブレットの世界市場で首位のメーカーである。米IDCのレポートによると、今年7~9月期の出荷台数上位メーカーは、1位から3位が、アップル、韓国サムスン電子、米アマゾン・ドットコムで、中国ファーウェイ(華為技術)と中国レノボ・グループ(聯想集団)がこれらに続く同率4位。

 前述したとおり、iPadの1年前に比べた出荷台数伸び率は11.4%。ほかの上位メーカーもサムスンを除き、台数が伸びている。だが、タブレット市場全体の出荷台数は同5.4%減少し、12四半期連続の前年割れとなっている。

 IDCによると、タブレット市場は依然苦戦している。「スマートフォン需要の高まり、パソコンの強固な地位などが要因となり、買い替え周期が長期化している」(IDC)。こうした中、果たしてiPhone Xのような機能を持つiPadは、この状況を打開できるのだろうか。

 いずれにしても、業界トップのアップルがこの市場にもたらす影響が大きいことは確か。タブレットの人気を盛り返すことができるのか、それともこのまま前年割れが続くのか。アップルが開発しているとされる次世代iPadがそのカギを握っているのかもしれない。

(このコラムはJBpressに2017年11月10日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)