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Apple Watchはバンドで進化する。血糖値センサー内蔵へ

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

米CNBCが伝えるところによると、米アップルの最高経営責任者(CEO)、ティム・クック氏は、自らの腕に開発中の血糖値測定機器を装着し、日々この機器のテストを行っているという。

クックCEO自らが開発を示唆

これはグルコース・トラッカーの試作機で、同社の腕時計型情報端末「Apple Watch」と連携して機能する。クックCEOはApple Watchとともにこれを身に着け、自分の血糖値を測っている。

実は、今回の報道に先立つ今年(2017年)2月、クックCEOは英スコットランドのグラスゴー大学で名誉博士号を受けたが、この時行った講演で、この機器について言及している。

CNBCなどによると、クックCEOはこの時、学生に向かって、「私はここ数週間、血糖値を継続的に測定するモニターを身に着けていた」と明かし、「食べたものが、血糖値にどのような影響を及ぼすのかを把握できるようになり、一定の血糖値を保つことができるようになった」と述べた。

アップルは秘密主義で知られるが、CEO自らが、こうして開発中の製品をほのめかすのは異例のことだ。CNBCは、これらの発言や今回得られた情報から、アップルが糖尿病患者や、その予備群の必須アイテムとなり得る機器を開発していることが示されたと報じている。

歴史的偉業の可能性

アップルが、非侵襲的(生体を傷つけない)方法で血糖値を測定する技術を開発しているという観測はこれまでにも出ていた。CNBCや米ザ・ バージなどの海外メディアによると、アップルには、生物医学の専門家で構成する秘密のチームがあり、そこで血糖値測定機器を開発している。

その機器は、光を皮膚に透過させ、血液内のグルコースレベルを、患者に痛みを与えることなく継続的に測るものという。

米国糖尿病協会(ADA)によると、糖尿病患者は米国だけでも3000万人いると推計される。その中には、日々血糖を自己測定する必要がある人がいるが、これには痛みが伴う。毎回、穿刺器具で指先などを刺し、血液を出さなければならないからだ。

そして今のところ、非侵襲的かつ正確に血糖測定する方法は、誰もが利用できる状況にはなっていない。

生命科学の世界では、非侵襲的方法で血糖値を継続的、正確に測定することは“至高の目標”と言われており、研究者は試行錯誤し、日々研究に取り組んでいる。そして、アップルのこうした取り組みは、生命科学分野の歴史的偉業につながる可能性があると米BGRの記事は、伝えている。

時計バンドに付加機能

また、このBGRの記事によると、アップルは合理的な方法で血糖値測定モニターをApple Watchに追加することを検討している。それは、Apple Watchに装着する時計バンドに、その機能を付けるというもの。これは交換可能なスマートバンドとも呼べるものという。

この方法であれば、Apple Watchは、その本体を大幅に改良する必要がなく、価格も大して上昇しない。またApple Watch本体を医療機器として、米食品医薬品局(FDA)に認めてもらうことは至難の業だが、時計バンドだけであればその作業は比較的容易になるとBGRは伝えている。

BGRの記事は、これ以外の時計バンドの応用として、カメラ付きバンドや、追加バッテリー付きバンドなども考えられると伝えている。

JBpress:2017年5月23日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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