アップル、今度は個人間決済サービスを計画か! 狙いは「iPhone」の利便性向上

米初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンの肖像が印刷された10ドル紙幣(写真:アフロ)

米ウォールストリート・ジャーナルや米ニューヨーク・タイムズなどの報道によると、米アップルは個人間のモバイル決済サービスを始めるべく、現在複数の米銀行と協議を行っている。

来年にもサービス開始か

検討されているサービスは、ユーザーが所有するアップル製モバイル端末を使って、当座預金口座から指定した人に送金できるというもの。アップルにはモバイル決済サービス「Apple Pay」があるが、新サービスはこれと連係する可能性があるという。

サービスは来年にも開始される可能性があると、事情に詳しい関係者は話している。これがスタートすれば新サービスは、オンライン決済サービスを手がける米ペイパルの「Venmo(ベンモ)」という個人間決済アプリと競合することになると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

なおアップルが交渉しているのは、JPモルガン・チェース、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ウェルズ・ファーゴ、USバンコープなど。

しかし同社がすでに銀行側と合意に達したかどうかは分からない。また銀行の既存システムと新サービスがどのように連携するのかといった技術的なことも現段階では流動的だという。

このサービスにおけるアップルの目的は、同社のスマートフォン「iPhone」の利便性向上と見られている。というのも、アップルは銀行側から手数料などを受け取らない方針で、新サービスによる直接的な収益は期待していないもようという。

同社には前述のApple Payや、定額制音楽配信サービス「Apple Music」があるが、新サービスはそうした従来サービス同様に、顧客の生活のあらゆる場面でiPhoneを利用してもらおうとの考えのもと提供される見通し。

アップルは、iPhoneを1台持っていれば、財布やほかの機器を持ち歩く必要はない、という世界を目指しているという。

個人間決済の大半は現金と小切手

一方、銀行側にとってもこうしたサービスはチャレンジだと指摘されている。

ウォールストリート・ジャーナルが引用したあるコンサルティング会社のリポートによると、昨年1年間に米国人が行った取引の合計額は1兆2000億ドルに上る。

こうした個人間決済は、ギフト用途や、食事代の割り勘精算、ルームメート同士の電気代・水道代の精算、養育費の支払いなど多岐にわたる。しかしその大半は依然、現金や小切手で行われている。

そうした中、前述のペイパルや、米グーグル、米フェイスブック、米スクエアといったシリコンバレーのテクノロジー企業は、それぞれに個人間決済サービスを提供しており、消費者の習慣を変えようとしているという。

急成長するペイパルの「Venmo」

ウォールストリート・ジャーナルによると、このうち急成長しているのはペイパルのVenmo。その今年7~9月期における取引額は21億ドルとなり、1年前の7億ドルから3倍に増えている。

Venmoのサービスは、アプリ内で送金相手と金額を指定し、コメントを入力してボタンを押すだけと簡単。するとあらかじめ登録しておいた銀行口座やクレジットカードからその金額が引き出され、相手に送られる。

受け取った側は、それを自分の銀行口座に移して現金化する。手数料は銀行口座の場合は無料、クレジットカードを使った場合は3%。また受け取る側は常に無料という仕組みだ。

Venmoは、ソーシャルネットワーキングサービスのニュースフィードのような機能で送金情報をやりとりできるのが特徴で、これがヤングアダルト層を引き付けているという。

しかし、こうしたサービスはまだ本格的な普及に至っていない。それゆえに、市場成長の可能性が大きく広がっていると指摘されている。

JBpress:2015年11月13日号に掲載)