北朝鮮が潜水艦ミサイル映像を公開 しかし米国ミサイル映像のパクリだった!

潜水艦発射弾道ミサイル実験に立ち会う金正恩氏

北朝鮮は9日、金正恩第1書記が立ち会った潜水艦からの弾道ミサイル水中発射実験に成功したと報じた。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は、核ミサイルを装備し、水中に潜んで敵国の深部をねらう。いくら初期的とはいえ、開発と成功が事実なら日米韓にとっては厄介な話になる。

しかし、北朝鮮が公開したSLBM写真に合成の疑いが提起される。ミサイルが噴出する煙の量が絶対的に少なく、またミサイルの発射角度が写真ごとに少しずつ違うというのだ。

筆者は、韓国側の「合成疑惑」に対して北朝鮮側からなんらかの反論があると予想した。発射実験の写真があるなら間違いなく映像もあるはず。その映像を公開すれば「合成疑惑」など一挙に吹っ飛び、北朝鮮の「SLBM脅威論」は現実味を帯びてくる。

ところが、北朝鮮側からはそういった反論は一切なかった。そして、しばらく経った26日付の労働新聞で、金正恩氏がSLBM関係者と記念撮影する様子を報道。この場で正恩氏は「(潜水艦ミサイル発射の成功)金日成・金正日朝鮮の尊厳と威容を世界に宣揚したもう一つの歴史的な出来事」と述べながら「威力ある戦略兵器を開発して朝鮮労働党創立70周年にささげる立派な贈物を用意した」と強調した。

この日に、SLBMの続報を出したのは、韓国ソウルで26日、27日と二日間にかけて開催された日米韓6カ国主席代表会議に合わせたのかもしれない。事実、北朝鮮のSLBM発射実験は、議題にもあがり「日米韓の脅威になる軍事力をアピールしたい」北朝鮮の狙いは、少しは成功したはずだった。

しかし、ここでやめておけばいいものの、北朝鮮は思わぬ事をしでかして地雷を踏むことになる。

27日、対南ウェブサイト「わが民族同士」で動画「朝鮮、世界でいくつかの軍事強国だけが独占している戦略潜水艦弾道ミサイル開発」を公開。動画では「グアム島やハワイ沖から米本土奇襲攻撃できる!」「ソウルにミサイルが1~2発落ちただけで極度の混乱に陥る」としながら、SLBM発射映像を紹介する。

そして、この映像が米国のSLBM映像の盗用ではないかと指摘される。さっそく、デイリーNKジャパンで米国の映像を探し出して見比べてみたら「100%盗用」であることが判明した。それが下の画像である。

画像

左は米国の「トライデント1」、そして右が北朝鮮が明らかにしたSLBM「北極星1号」らしき映像だが、まったく同じであることがわかる。それ以外のシーンでも別のミサイル映像を盗用しているが、なぜこんなすぐバレるようなことをするのか首をかしげざるをえない。

わが民族同士は対南宣伝ウェブサイトである。SLBM動画を公開する狙いは、韓国、そして米国に対して軍事力を誇示することだ。しかし、わざわざ不倶戴天の敵国である米国のSLBM映像を盗用した動画で、一体誰に、何を訴えようとしているのだろうか。ナゾは深まるばかりである。北朝鮮が公開したSLBM映像を見て、米軍の分析官たちは失笑をこらえながら首を傾げているに違いない。

最後に、金正恩氏が「威力ある戦略兵器」と自画自賛する北朝鮮初のSLBMの名前は「北極星1号」だが、米国初のSLBMが、まさに「ポラリス(北極星)」だったことを付け加えておく。