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「母恋めし」に弟ができた! 9月1日新発売の「ほたて街道 道中めし」は兄の人気を超えるか!?

小林しのぶ駅弁の女王 風土ジャーナリスト フードアナリスト
母恋駅の新作駅弁「ほたて街道 道中めし」  母恋めし本舗提供

 人気がありすぎてなかなか買えず、”幻の駅弁”といわれる「母恋めし」。ホッキ貝の炊き込みごはんのおにぎり弁当で、販売している駅は室蘭本線母恋駅。駅員がいない、いわゆる無人駅だが「母恋めし」を買い求める人が次々とやってくるため、母恋駅の名は全国に知られることになった。調製元は「母恋めし本舗」。2002年以来ただ1種類「母恋めし」だけを販売してきたが、20年目にあたる今年9月1日、満を持して新作「ほたて街道 道中めし」を新発売した。

焼き目がついて香ばしいホタテ   母恋めし本舗提供
焼き目がついて香ばしいホタテ   母恋めし本舗提供

 新作駅弁はホッキ貝ではなくホタテ貝。三角のおにぎりで大きさも「母恋めし」と同じだが、おにぎりの上にのっているのは紅いホッキではなく大きくて分厚いホタテ。おにぎりの一面をすっぽり覆うほどの大きさのものもあり、どうやってこれだけのホタテを集めたのかと感心する。

「もちろん北海道産の殻付きホタテを使っています。室蘭市の地球岬から絵鞆岬までの沿岸にのみに生息するヤヤン昆布と削り節の混合出汁などでサッとゆがいた貝柱を、北海道産バターと醤油を絡めて焼き目を付けました。このホタテのバター醤油焼きがとても評判が良くてね」と社長の関根勝治さん。

栄養たっぷり、ヤヤン昆布   筆者撮影
栄養たっぷり、ヤヤン昆布   筆者撮影

 新作「ほたて街道 道中めし」を作るきっかけとなったのは今年7月に発生した胆振中部地方産ホッキ貝の貝毒。地元噴火湾のホッキが使えず、また禁漁明けにはホッキ貝の価格高騰。ホッキ貝入荷の見通しが立たず「母恋めし」の安定した販売が不可能となった。そこでホッキ貝が安定するまで「ほたての母恋めし」のネーミングで道産ホタテ貝を使用したおにぎり弁当を期間限定で販売。するとこちらもすぐに人気となり、リピーターも続々。新作駅弁として開発することになった。

 ホタテのおにぎり2個と、付け合せに燻製チーズ、燻製たまご、おつまみわかめ、ハッカキャンディーなどが入っているのは「母恋めし」と同じ。丸わっぱの容器に収まっている。

 いまはホッキ貝の入荷も安定し、「母恋めし」と「ほたて街道 道中めし」の2本立てとなった母恋駅の駅弁。新作も連日完売の”幻の駅弁”となりそうな予感がする。

駅弁の女王 風土ジャーナリスト フードアナリスト

「食」「郷土」にまつわる風俗・民俗・文化を中心に取材活動を続ける。駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。調製元との駅弁開発、プロデュースも手がける。 新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。■著書 「日本が誇る 絶品の食遺産」(天夢人) 「全国美味駅弁 決定版」(JTBパブリッシング) 「超いまうまい帖」(ぶんぶん書房) 「どんぶりこ」(交通新聞社) 「技アリつまみ」(JTBパブリッシング) 「日本駅弁大全」(文藝春秋)(台湾書跡)ほか多数

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