”日本一のあなごめし”の名声をほしいままにする広島県宮島口駅の駅弁「あなごめし」

ご飯の上にすき間なくのったアナゴは表面がかりっと焼き上がり、中は心地よくやわらかい。

一度食べたら忘れられない味、鼻先をくすぐる香ばしい醤油のにおい、手に持った時の経木折りの感触。レトロ調の掛け紙も印象的で、駅弁に限らず、全国のあなごめしの頂点に立つと断言できる。

宮嶋駅(現在の宮島口駅)前に船や汽車待ちの茶店を開業した「うえの」が明治30年(1897)に駅売弁当として発売したのが始まりで、以来現在まで124年間「あなごめし」一筋。

1種類の駅弁しか作らない調製元は全国を見回してもほとんど見当たらない。”世界食文化遺産”に指定して欲しいほどの駅弁である。

その「うえの」が通販限定で弁当の新商品を出すと聞き、耳を疑った。

「うえの」が? 取り寄せ不可、全国で開催される駅弁イベントにもほとんど出店せず、現地で買うしかない「あなごめし」の「うえの」が?

全国の駅弁ファンも驚くだろう、しかしすぐに嬉しさが増すだろう。確かに「うえの」は新商品を発表した。

ショウガ、ミョウガなど薬味がアクセントに  うえの提供
ショウガ、ミョウガなど薬味がアクセントに  うえの提供

「名物 穴子と椎茸のちらし寿司」と名付けられたこの弁当、丸わっぱの容器にごはんが見えないくらいに刻みアナゴがのっている。超絶豪華な内容である。

 冷蔵保存なら電子レンジで3分程度、室内常温に戻っていれば1分程度加熱して、温寿司として食べる。

「吟味した天然アナゴの蒲焼だけが作り出せるアナゴの味と、薄味に炊いた椎茸との按配をお楽しみください」と上野純一社長。

上野純一社長 うえの提供
上野純一社長 うえの提供

レトロな掛け紙、ふたを開けた時のうまそうなアナゴの匂いは駅弁「あなごめし」を思わせる。

アナゴと椎茸の組み合わせの妙には絶句。そしてところどころに散りばめられたショウガがよき箸休めとなっている。

駅弁を取り巻く話題は日々変化している。

毎年1月の駅弁大会で知られる東京新宿の京王百貨店では、「デパ地下駅弁」企画を発表。小淵沢駅、鳥取駅、岡山駅、神戸駅、広島駅などの十数種類の駅弁をネットで予約、日にち指定で、百貨店内で受け取りできるようになったことにも衝撃を受けたばかりだ。

「うえの」が124年ぶりとなる新商品を出すのも自然の流れか。

それにしてもうまい。まっことうまい。毎日食べても、もっと食べたい。広島に新名物の誕生だ。

宮島口駅前に店を構える  うえの提供
宮島口駅前に店を構える  うえの提供