#下野紘「相葉マナブ」出演でトレンド入り:増える声優のテレビ出演、その要因とは
昨夜放送のバラエティ番組「相葉マナブ」に人気声優・下野紘氏が出演し、番組名や相葉くんといったワードと共に#下野紘・下野さんがSNSでトレンド入りし、話題となりました。
これまでにも声優のマルチな活躍については度々注目が集まってきましたが、特にここ1、2年で、上記下野氏をはじめとする声優の方々が“顔出し”でバラエティ番組や実写ドラマ、テレビCMなどで活躍する機会が、それ以前よりぐっと増えてきています。
そのきっかけや要因はどこにあるのでしょうか。
■深夜アニメへのアクセシビリティ
きっかけとしてまず大きかったのは”「鬼滅の刃」の国民的ヒット”だと思います。
声優のバラエティ番組出演が急増し始めた際にその筆頭となっていたのも、下野氏をはじめ、花江夏樹氏や鬼頭明里氏、松岡禎丞氏といった同作のメインキャストの方々でした。
「鬼滅」ヒット以前も、声優のバラエティ番組などへの出演が全く無かった訳ではありません。
しかし、アニメ・声優ファンも多く視聴している番組を除いて、いわゆるお茶の間に向けたバラエティ番組に出演するのは、往年の超有名作品に出演するレジェンドと呼ばれるような超大御所の方々がほとんどでした。
それもそのはずで、これまではそうした作品を見ていない人でさえピンとくるほど長い時間をかけて一般にまで浸透したキャラの声優でない限り、どんなに人気でファンが沢山いようと、そうした番組で「あの作品の、××役の…」と言われたところで、視聴者に分かってもらうのはなかなか難しかったからです。
そんな中、「鬼滅の刃」のヒットをきっかけに登場キャラと”その声”がアニメファン以外の老若男女にまで知れ渡ったことは、直近の深夜アニメなどでも活躍中のいわゆる中堅・若手と呼ばれる声優の方々までをもお茶の間に向けた番組に出演する機会を増やす、大きなきっかけとなっていました。
加えて「鬼滅」ブームによって、配信プラットフォームのレコメンド機能などをきっかけに、その後の「呪術廻戦」人気の折にも垣間見えたような、深夜アニメがアニメファン以外にも“届きやすい”環境ができたことも大きな後押しになっていると思います。
それまではアニメファン以外には視聴ハードルが高かった深夜アニメ※1が気軽に視聴できるようになったことで、人々がそこで活躍する中堅・若手声優の声を知る機会が増えたり、たとえバラエティ番組に出演している声優を知らなくても、その人が出演する作品を視聴するハードルが、ぐっと低くなったからです。
- 日中の番組のように”たまたま”視聴できる機会が少なく、かつ見逃すと再放送か映像ソフトでしか視聴できなかったため
■元々のポテンシャル
しかし上記はあくまできっかけで、現在声優のテレビ出演が増えた要因は、元々多くの声優の方々が、こうしたきっかけさえあれば、いつでも一般向けのテレビ番組で活躍できるポテンシャルを持っていたことがなにより大きいと思います。
例えば最近の番組では、声優がゲスト出演した際に『あのキャラの声でこのセリフを言ってください』という“お約束”のやりとり以外のトークや企画が行われることも増えてきました。これは声優ご本人の認知度と共に、彼ら彼女らにラジオやイベントで培われたバラエティへの対応力があることが番組側や一般視聴者にも伝わってきているからではないでしょうか。
また、「嵐にしやがれ」で大野智氏にラップ講座をした木村昴氏や、パン好きが高じてラジオ特番が放送されることになった花澤香菜氏、ホークスの大ファンであることをきっかけに野球中継の副音声を担当した内田真礼氏など、声優としてのお芝居とは違ったパーソナルな側面がフィーチャーされて活躍の場を広げる方々も増えています。
なりたい人が多く、なってからも活躍できるのはほんの一握りと言われる声優業界。
そこで人気声優と呼ばれる人々の中には、お芝居だけでなく、活躍の可能性を広げるためのセルフプロデュース力が高い方々がかなり多いです。
現在、声優の方々がバラエティ番組などで活躍する機会が増えたことには、単なる作品の爆発的な人気だけでなく、”そうしたきっかけ”さえあれば、場所をテレビに移しても活躍できるポテンシャルを、元々多くの声優の方々が持っていたことも大きいと思います。
こうしてアニメと、バラエティやドラマといった実写畑との行き来がより頻繁になることで、昨夜の相葉雅紀氏と下野氏のプライベートでの交流や、共演をきっかけに交流を深め、お互いのYouTubeチャンネルに出演した神木隆之介氏と梶裕貴氏のように、それぞれの活動分野を跨いだ縁での友情出演やコラボの場というのも、今後増えていくことが予想されます。
これまでにも声優ブームと呼ばれる時期は何度もありましたし、アニメファン以外にまでその人気が知られる機会もありましたが、それでもまだ一般的には『どこか畑違いの人々』と思われているような節もありました。
しかしこうして活躍の場がもうひと段階広がるとともに、声優への認識が一般的なバラエティ番組などでも大きく変わりつつあるこの現状は、これまでのブームともまた違う、ちょっとした変革期に近いものなのではないでしょうか。