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マエケンは僅差の2位タイ、秋山は3位。ゴールドグラブ賞の詳細を覗いてみる

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
ゴールドグラブ賞選出で僅差の2位だったツインズの前田健太(写真:三尾圭)

 11月3日(日本時間4日)に2020年メジャーリーグのゴールドグラブ受賞者が発表された。

 日本人ではミネソタ・ツインズの前田健太とシンシナティ・レッズの秋山翔吾の2選手が最終候補に残ったが、イチロー以来となる日本人2人目のゴールドグラブ賞誕生はならなかった。

 最終候補選手が発表された直後にマエケンが最終候補に選ばれたアメリカン・リーグ投手部門はロサンゼルス・エンジェルスのグリフィン・キャニングが、秋山が残ったナショナル・リーグ左翼手部門はセントルイス・カージナルスのタイラー・オニールが受賞すると予想したが、結果はその通りだった。

 新型コロナウイルスの影響で60試合の短縮シーズン、しかもインターリーグを含めて同地区同士の対戦しかなかった今季は、例年のように監督とコーチによる投票を止め、セイバーメトリクスの守備データのみで受賞者を決めた。

 ゴールドグラブ賞を選ぶのに使われた守備データは、SABRディフェンシブ・インデックス(SDI)。

 SABRとはアメリカ野球学会(Society for American Baseball Research)のことで、SABRが独自に算出する守備データがSDIだ。

 今季のゴールドグラブ賞が発表された直後に、今季のSDI値も発表されたので、SDIを見てみたい。

ア・リーグ投手部門

1位:グリフィン・キャニング(エンゼルス)1.4 初受賞

2位タイ:前田健太(ツインズ)1.0

2位タイ:ザック・プリサック(インディアンズ)1.0

 1位のキャニングと2位のマエケンの差は僅か0.4。これはアメリカン・リーグ中堅手部門で1位だったルイス・ロバート(シカゴ・ホワイトソックス)の5.6と2位のバイロン・バクストン(ミネソタ・ツインズ)の5.5の0.1差に次ぐ、ア・リーグ2番目の僅差だった。

 今季の投手の最低投球回数は50イニングだったので、2018年に最終候補の3人に選ばれたニューヨーク・ヤンキースの田中将大(48.0イニング)とシアトル・マリナーズの菊池雄星(47.0イニング)は選外。ナショナル・リーグではシカゴ・カブスのダルビッシュ有が0.5で13位タイにランクイン。

 2018年の田中はリーグ1位のSDI3.4を記録しながらも、SDIが1.1でリーグ8位だったダラス・カイケル(当時ヒュースン・アストロズ、現シカゴ・ホワイトソックス)にゴールドグラブ賞を拐われている。もしも、2018年も今季と同じように監督やコーチの印象度(投票)を省いて、SDIのみを基準としていればマー君がゴールドグラブ賞に選ばれているはずだった。逆に今季が例年通りに25%がSDI、残りの75%が監督とコーチ投票であればマエケンが選ばれていた可能性も高い。守備ではセイバーメトリクス(SDI)と専門家からの評価(監督とコーチ投票)に大きな相違があり、SDIのみで選出した今季は18人中11人が初受賞となった。

 昨季はマー君が5位タイの0.9、雄星は下から4番目の-1.4、ロサンゼルス・ドジャースでプレーしていたマエケンはナ・リーグ投手部門で15位タイの1.4、ダルビッシュは-1.8だった。

ナ・リーグ左翼手部門

1位:タイラー・オニール(カージナルス)7.0 初受賞

2位:デビッド・ペラルタ(ダイヤモンドバックス)2.3

3位:秋山翔吾(レッズ)1.8

 SDI7.0のオニールがぶっちぎりで受賞。オニールの7.0はナショナル・リーグ全体でもトップのノーラン・アレナド(コロラド・ロッキーズ三塁手、8.5)、2位のムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース右翼手、7.5)に次ぐ3位の数字だった。

 秋山はオニールに大差を付けられたが、昨季の受賞者であるペラルタとは守備機会が41%も少なかったのにSDIは0.5の差しかなかったのは立派。来季はフルタイムでレフトに固定されれば、オニールの良きライバルとなるはずだ。

 レッズはシーズン途中に移籍加入してセンターを守ったブライアン・グッドウィンのSDIが-1.8で、期待の若手のニック・センゼルも守備範囲は平均以下だったので、来季は名手・秋山にセンターを任せるかもしれない。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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