マエケンと秋山はゴールドグラブ賞を取れるのかをデータから検証

ゴールドグラブ賞の最終候補に選ばれたレッズの秋山翔吾(三尾圭撮影)

 2020年MLBシーズンのゴールドグラブ賞最終候補選手が10月22日(日本時間23日)に発表された。アメリカンとナショナルの各リーグ、9ポジションで、3選手ずつが最終候補選手に選ばれた。(ア・リーグの二塁手のみ4名選出)

 日本人メジャーリーガーは、ミネソタ・ツインズの前田健太がアメリカン・リーグの投手部門で、シンシナティ・レッズの秋山翔吾がナショナル・リーグの左翼手部門で選出された。

 最終候補に選ばれたことを聞いた秋山は「チームの関係者の人が認めてくれることが僕としては喜び。今回こういうふうに名前が出たということが少しでも存在感をアピールする1つのものになるんじゃないかなと思います」とコメント。

 実は例年であれば、ゴールドグラブ賞の投票は各チームの監督とコーチ陣が行うが、短縮シーズンとなった今季は同地区以外のチームとは対戦機会がなかったこともあり、投票ではなくセイバーメトリクスの守備データで決められる。

 今季の受賞者を選ぶ際に使われる守備データは、SABRディフェンシブ・インデックス(SDI)。SABRとはアメリカ野球学会(Society for American Baseball Research)のことで、SABRが独自に算出する守備データがSDI。今季のSDIは11月3日(日本時間4日)にゴールドグラブ賞受賞者が発表された直後に公表されるので、現時点では不明だ。

 SDIを算出する際には守備防御点(DRS)、アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)、ゾーン・レイティング(ZR)の3つが使用される。

 DRSは平均的野手と比べたときの守備の貢献度を示し、DRSが+3だと守備によって3点防いだことになる。

 UZRはDRSと基本的なコンセプトは同じだが、算出方法が異なる。

 ZRは守備範囲に飛んできた打球を処理できた確率を示すデータ。今季のZRは入手できなかったので、ここではよく似たRZRというデータを使う。RZRは.835が平均レベルで、.900以上が優秀、.940がとても優秀の目安となる。

 過去にメジャーでゴールドグラブ賞を受賞した日本人メジャーリーガーは、メジャー・デビューの2001年から10年連続で選出されたイチロー(シアトル・マリナーズ)の一人だけ。

 マエケン、秋山はイチローに続く日本人ゴールドグラブ賞選手になれるのか?その可能性をデータを元に検証する。

日本人メジャーリーガーで唯一のゴールドグラブ賞受賞者のイチローは10年連続で同賞を手にした(三尾圭撮影)
日本人メジャーリーガーで唯一のゴールドグラブ賞受賞者のイチローは10年連続で同賞を手にした(三尾圭撮影)

ア・リーグ投手部門

  • 前田健太(ツインズ)
  • グリフィン・キャニング(エンゼルス)
  • ザック・プリサック(インディアンズ)
ア・リーグ投手 ゴールドグラブ賞最終候補3選手 主要守備成績(表:三尾圭作成)
ア・リーグ投手 ゴールドグラブ賞最終候補3選手 主要守備成績(表:三尾圭作成)

 日本では4年連続を含む5度のゴールデングラブ賞を受賞しているマエケン。今季は13守備機会で1エラー、守備率は.923だった。ア・リーグ投手の今季平均守備率は.946だったので、マエケンの守備率はリーグ平均を下回っている。ただし、今季は試合数も少ない(特に投手)ので例年に比べれば、守備率の重要性は低い。盗塁は3回許して阻止は1度で、阻止率25%。牽制で走者を1度刺している。

 マエケンは9月11日のインディアンズ戦で見せた逆グラブトスからの美技の印象が強く、MLB公式ページの最終候補者発表のニュースページでもそのプレー動画が紹介されているが、今季は印象度は加味されずにデータのみが判断材料となる。

 マエケンの捕殺数11回はリーグ1位で、刺殺と捕殺を足したものをイニング数で割り9を掛けたレンジファクター/9(RF/9)もリーグ3位の1.62を記録した。ただし、キャニングとプリサックは規定投球回数(60.0イニング)に満たなかったが、RF/ 9は2点台で前田よりも上。今季のゴールドグラブ賞に関しては、50イニングが規定イニングとして設定されている。

 今季の投手データは、UZRとRZRがまだ出ていない。DRSは+3のキャニングがリーグトップ。キャニングは刺殺数もリーグ3位、捕殺数はリーグ2位で、盗塁阻止5回、盗塁阻止率56%、牽制成功も2回。SDIの投手部門では盗塁阻止率と牽制成功数も計算方式の中に含まれている。

 主要な守備成績を見比べていくと、キャニングがゴールドグラブ賞の最有力候補と言えそうだ。

 ヒューストン・アストロズのザック・グレンキーはナ・リーグで6年連続してゴールドグラブを受賞中だったが、ア・リーグに移籍してきた今季は最終候補の3人には残らなかった。

インディアンズ戦で逆グラブトスの美技をみせたツインズの前田健太(三尾圭撮影)
インディアンズ戦で逆グラブトスの美技をみせたツインズの前田健太(三尾圭撮影)

ナ・リーグ左翼手部門

  • 秋山翔吾(レッズ)
  • デビッド・ペラルタ(ダイヤモンドバックス)
  • タイラー・オニール(カージナルス)
ナ・リーグ左翼手 ゴールドグラブ賞最終候補3選手 主要守備成績 記録は左翼手としてのみ(表:三尾圭作成)
ナ・リーグ左翼手 ゴールドグラブ賞最終候補3選手 主要守備成績 記録は左翼手としてのみ(表:三尾圭作成)

 日本では5年連続、通算6度のゴールデングラブ賞の常連だった秋山はメジャー移籍1年目から最終候補選手に挙げられた。秋山の守備イニング数が他の2候補に比べて100イニング近くも少ないのは、左翼固定ではなく、中堅手としても134.2イニングを守っているから。外野手としてはペラルタを上回る381.0イニングを守って、エラーは1度もなかった。

 外野手の守備で最も重要視されるのは守備防御点(DRS)。オニールの9点は2位の左翼手(ピッツバーグ・パイレーツのブライアン・レノルズ)を4点も離す圧倒的な数字。昨季はゴールドグラブ賞に輝いたペラルタは昨季の10点からマイナス1点に大きく落とした。

 UZRは5.7のオニールがリーグ1位で、4.2のペラルタが2位。この2人が頭一つ抜け出しており、2.0のジュリクソン・プロファー(サンディエゴ・パドレス)が3位につける。オニールのRZR.950はナ・リーグ左翼手で3位だが、最終候補3人の中ではトップ。

 3人の中でDRS、UZR、RZRの3部門全てでトップのオニールが、メジャー3年目にして初のゴールドグラブ賞を手にするだろう。

メジャー1年目から守備でも魅せた秋山翔吾(三尾圭撮影)
メジャー1年目から守備でも魅せた秋山翔吾(三尾圭撮影)