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米大学NCAAでアメリカンフットボールをプレーする日本人選手たち

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
今季はカリフォルニア大学など複数のNCAA大学に日本人アメフト選手が所属する

 アメリカンフットボールの本場、アメリカの高校、大学でプレーする日本人選手が増えている。

 2016年9月に庄島“ジオ”辰尭がUCLAで公式戦に出場して、日本で生まれた両親が共に日本人の選手としては初めてNCAA(全米大学体育協会)のFBS(1部の上位校)に所属するチームでプレーした選手となったが、パイオニアの庄島が切り拓いた道を追って、数人の選手が後に続いている。

 まず、2部の大学ながら、日本人選手として初めて授業料全額免除の奨学金を得て、アメフト特待生となったのがシャドロン州立大学の北村陸。

 広島県出身の北村は、通っていた高校にアメフト部がなかったために、他の高校で練習への参加を許可してもらったが、日本では試合の出場経験を持たない異色の選手。庄島も通ったロサンゼルス近郊のサンタモニカ・カレッジ(2年制)での活躍が認められて、シャドロン州立大学から奨学金を提示された。

 身長183センチ、132キロのディフェンシブ・ラインマンで、大柄な身体を武器に相手チームのラン攻撃を食い止める。

 サンタモニカ・カレッジで北村の1年先輩に当たるのがハワイ大学の伊藤玄太

 昨夏にサンタモニカ短大からハワイ大学へ転校した伊藤は、173センチ、88キロの小柄なランニングバック。ハワイ大学1年目の昨季は、スカウトチーム(練習で仮想対戦相手を務める控えチーム)の最優秀攻撃選手に選ばれ、シーズン最終戦の最後のプレーで公式戦デビューも飾った。スポーツだけでなく、勉強にも力を入れており、学業優秀な選手としても表彰された。

 そんな努力が認められてハワイ大学2年目の今季は、授業料と生活費を全て免除される奨学金を与えられた特待生扱いとなった。

 日本人アメフト選手がFBSの大学から奨学金を得たのは伊藤が初めてとなる。

 UCLAと同じパック12カンファレンスに所属するカリフォルニア大学バークレー校でプレーするのが、遠藤太朗(ひろあき)

 日本大学高校出身の遠藤は、高校を卒業後にサンフランシスコ近郊にある2年制のデアンザ大学に進学。1年目は故障もあり試合に出られなかったが、2年目はワイドレシーバーとして試合で活躍できるようになった。3年目はカリフォルニア大学に転校して、アメフト部の入部テストを受けたがチームに入ることはできなかった。しかし、コーチからビデオ係に勧誘されて、裏からチームを支えた。

 そして、4年生となった今季、晴れてメンバーの座を勝ち取った。

 最後に紹介するのは、FCS(1部下位校)のセントフランシス大学に今年から入学した菅野洋佑

 関西学院高校が高校選手権連覇を達成したときの主将で、卒業後にはペンシルベニア州の高校で1年プレー。これまでの日本人選手は2年生の短期大学で実績と経験を積んでから4年制大学に転校したが、菅野は始めから4年制の大学に進学した。

 「日本人選手」と言っても、アメリカで生まれ育って、両親のどちらか一人が日本人というケースもあるので、上で紹介した4選手以外にもNCAAでプレーする日本人選手はいるかもしれない。

 NCAAで日本人選手がアメフトをプレーするだけでも難しいことなのに、奨学金を得て特待生として迎え入れられる選手まで出てきたことは非常に喜ばしい。

 今はまだレギュラーの座を獲得した選手はおらず、4選手ともに開幕戦では出番が巡ってこなかった。彼らはチームに入れただけでは満足しておらず、試合に出て活躍し、チームの勝利に貢献することを目標に日々の練習に励んでいる。

 彼らが定期的に試合へ出て活躍するようになったとき、日本のアメフト界を1つ上のレベルに押し上げてくれるはずだ。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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