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難敵と戦う井上拓真と無敗で3階級制覇に挑む中谷潤人 激戦のバンタム級で主役になるのは誰だ

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

24日、両国国技館で行われる世界バンタム級タイトルマッチにて、2名の日本人ボクサーが世界戦を迎えることで話題となっている。

防衛戦・井上拓真

WBAバンタム級王者・井上拓真(28=大橋)は、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を迎え、初防衛戦を行う。

拓真は昨年4月にリボリオ・ソリス(ベネズエラ)に判定勝利し、王座を獲得した。

今回の防衛戦は当初、昨年11月15日に予定されていたが、拓真の負傷で延期となっていた。1ヶ月ほど治療に専念し完治させ、現在は体も完璧に仕上がっているようだ。

慎重な姿勢で臨むのも、今回の挑戦者がアンカハスだからだろう。拓真にとってキャリア最大の強敵といっても過言ではない。

戦績は33勝(22KO)2敗2分、スーパーフライ級時代には王座を9回防衛し、井岡一翔のライバルと言われていた。

減量苦から2連敗を喫したが、階級を上げてきたため、パフォーマンスは改善しているだろう。

スタイルはサウスポーで、長いリーチが特徴的だ。パッキャオのような飛び込みながらのストレートと、嵐のような連打には警戒したいところだ。

挑戦者のベテラン王者をどのように退けるのか、拓真の王者としての真価が問われる試合となりそうだ。

挑戦者・中谷潤人

2階級王者の中谷潤人も同日世界戦を行い、WBC同級王者のアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に挑戦する。

中谷はこれまで26戦26勝(19KO)の戦績を誇る、173cmの長身サウスポーだ。

昨年5月に行われたアンドリュー・モロニー戦では、壮絶な試合展開の中、最終ラウンドでKO勝利し、海外メディアの年間最優秀KO賞に選出された。

海外での知名度も上がり、井上の後継者“ネクストモンスター”として活躍が期待されている。

そんな中谷が挑む王者サンティアゴは、これまで36戦28勝(14KO)3敗5分の戦績で、知名度のあるボクサーではなかった。

しかし、昨年7月のWBC世界バンタム級王座決定戦で、元5階級王者のノニト・ドネア(フィリピン)と戦い、勝利したことで一気に名が広まった。

身長は159cmと小柄だが、ドネアの強打に耐えるほどの打たれ強さを持っている。パンチを掻い潜り、攻撃的なボクシングを仕掛けてくるため、一筋縄では行かないだろう。

これまで王座決定戦でタイトルを奪取してきた中谷にとって、初の世界王者への挑戦になる。

盛り上がるバンタム級

国内バンタム級は近年稀に見る盛り上がりを見せている。その理由は、選手層の厚さだろう。

世界戦を行う2人を筆頭に、キックボクシングから転向した無敗全KOの武居由樹(27=大橋)や、キックボクシングの神童と呼ばれた那須川天心(25=帝拳)など、次世代世界王者として期待されているボクサーが多い。

また、2階級制覇を目指す元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)や、WBA1位の石田匠(井岡)、IBF1位の西田凌佑(六島)、元日本バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)も健在だ。

西田は5月にIBFバンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)への挑戦が報道されている。

今回の試合で井上拓真と中谷潤人が勝ち進み、タイミングが揃えば、日本人王者同士の統一戦も実現するかもしれない。

今後のバンタム級戦線に注目していきたい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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