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那須川天心のプロ3戦目 KO勝利に繋がる驚くべき進化とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供 FUKUDA NAOKI

1月23日、エディオンアリーナ大阪で東洋太平洋スーパーバンタム級6位の那須川天心(25=帝拳)が、WBA世界同級14位ルイス・ロブレス(25=メキシコ)と54.8kg契約8回戦で対戦する。

同日にはダブル世界戦も行われ、WBA・WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(32=BMB)と、WBA世界フライ級1位ユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)が出場する。

ルイス・ロブレス

天心の対戦相手ルイス・ロブレスは、WBA、WBO世界バンタム級14位と世界的評価も高いボクサーだ。

天心と同じ25歳で、戦績は18戦15勝(5KO)2敗1分。メキシカンファイターで手数が多く、勢いのあるボクサーだ。

直近の試合は昨年10月、WBC中南米バンタム級王座決定戦で引き分けている。これまで2敗しているがいずれも判定で、KO負けはない。

また、数々の世界王者を育てた名伯楽イグナシオ・ナチョ・ベリスタインがトレーナーである点も警戒したい。

前戦の相手ルイス・グスマンより強敵であることは間違いないだろう。

無理に倒そうとせず、流れでKOに結びつけるのがベストだろう。格上相手にどんな戦いを見せるのか注目したい。

ボクサーと階級

今回の試合では、121ポンド(約54.8キロ)契約8回戦で戦う。

デビュー戦はスーパーバンタム級122ポンド(約55.3kg)契約、2戦目は123ポンド(約55.7kg)契約で戦っていた。

プロになってから最も低体重で、初戦より約500g落とし、試合を迎えることになる。

ボクシングとキックボクシングの大きな違いは、蹴りの有無と試合時間だ。そのため必要な筋肉も変わってくる。

特に試合時間の違いは、短距離走と長距離走といえるほどだ。

瞬発力から持久力強化の肉体改造が必要だろう。そのため最近は頻繁に走り込み合宿を行なっているようだ。

普段の体重はキック時代が63~65kg、ボクシング転向後は60kg前後のため、現段階ではバンタム級からスーパーバンタムでの体重で戦っている。

まだどの階級を主戦場としていくか、見定めている時期なのだろう。

私も現役時代、デビュー戦から数戦は本来の階級より上の階級で戦っていた。減量が楽な分、対戦相手のパワーが増すが、キャリア初期であれば技術で戦える。

天心はまだ25歳と若く、体の成長も期待できるため、適正階級は慎重に見極めなければならない。

KO勝利への期待

デビュー当初から、KO勝利が期待されている天心。

持ち味であるパンチのキレとスピード、加えてカウンターは、世界王者クラスのトレーナーが舌を巻くほどで、「天性のタイミングを持っている」と話していた。

10日に行われた公開スパーリングでは、メキシカンを相手に好調なスパーリングを披露していた。

前戦からさらに進化を遂げており、全体的なレベルはもちろん、より攻撃力が増した印象を受けた。

フォームも、キック時代の上体が浮き上がったスタイルから、重心が下がり、ボクサーらしいスタイルが定着してきた。

また、パンチを当てた後、追撃のラッシュや相手の動きを止めるボディ打ちなど、近距離での駆け引きがうまくなっていた。

わずかな期間で、よりKOを意識したスタイルに進化している。今回の試合、キレのあるパンチでカウンター一撃KO勝利も十分期待できるだろう。

世界ランカーを倒せば15位以内ランクされ、世界王座への挑戦権が得られる。

まずは23日の試合に勝利し、世界進出への足がかりを掴みたい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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