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井上尚弥の対戦相手“悪童”ネリとは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:REX/アフロ)

ボクシングスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30=大橋)と、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(29=メキシコ)の対戦を、アメリカスポーツメディアが報じたことで話題となっている。

対戦報道

井上は昨年12月、2階級での4団体統一に成功した。対戦相手の2団体統一王者マーロン・タパレスを、10回KOで破り圧勝。

わずか1年足らずで4つのベルトを集め、世界最速で4団体統一王者となった。

海外での反響も凄まじく、世界的に権威のあるアメリカの専門誌「ザ・リング」は、井上を2023年の「ファイター・オブ・ザ・イヤー」(最優秀選手賞)に選出した。

日本ボクサーが選ばれることは史上初で、アジアでも2009年のマニー・パッキャオ(フィリピン)以来の快挙となった。

統一後には、階級変更も噂されたが、本人の意向でしばらくはこの階級に留まり、防衛を重ねていくようだ。

そんな井上の対戦候補として、以前から有力視されていたのが、ボクシング界の問題児ルイス・ネリだ。

ルイス・ネリ

ネリはバンタム級とスーパーバンタム級の2階級王者で、これまで36戦35勝(27KO)1敗の戦績を誇る。

サウスポースタイルのファイターで、アグレッシブなスタイルが特徴のボクサーだ。

以前から井上との対戦を熱望しており、昨年2月にWBCの指名挑戦権を獲得したことで、正式に対戦候補となった。

確かな実力者だが、過去にはドーピング疑惑や計量オーバーなど、数々のトラブルを起こし、ボクシング界では“悪童”としても知られている。

日本試合でもトラブルを起こしたことで、日本ボクシングコミッション(JBC)から、無期限の活動停止処分を受けた。

しかし、永遠に日本での試合が禁止されたわけではない。無期限の停止なら3年、取り消しなら5年で再申請が可能なようで、ネリ側から申請があれば手続きを進めるようだ。

井上の所属ジムの大橋会長も交渉中とコメントし、試合に向けて話を進めているようだ。

試合について

報道では5月頃、東京ドームでの開催が有力視されている。

過去にもボクシングの試合がドームで行われたことはあるが、日本ボクサーがメインとして戦う興行は初だ。

井上の試合は圧倒的な集客力がある。前回行われたタパレス戦でも、約1万5000人収容できる有明アリーナで、チケットの入手が困難なほどだった。

7月に行われたフルトンとの一戦では、応募総数が10万以上あったようだ。

約5万5000人を収容できる東京ドームであれば、より多くのファンが現地観戦できるだろう。

対戦候補としてネリが有力視されているが、あくまで候補だ。初のドームとなれば井上の対戦相手選びは重要になる。

その他の対戦候補として、元統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)や3階級王者のジョンリル・カシメロ(フィリピン)なども挙がっているが、話題性があるカードが必要だ。

ネリが候補に上がったのは、WBCの指名挑戦者でもあるがマイナスイメージで国内の知名度もあるからだろう。井上と戦えば大きな話題を呼ぶカードとなる。

井上自身も報道を受けてXにポストしている。

あくまで現段階では海外メディアでの情報にはなるので、正式発表を待ちたい。

この試合の先には、中東からの巨額のオファーが届いているとの話もある。今年も井上がボクシング界の中心となりそうだ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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