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井上尚弥の4団体統一戦 前日計量でのタパレスの腕に注目

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:松尾/アフロスポーツ)

ボクシングWBC&WBO世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(30=大橋)が、WBA&IBF世界同級統一王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体統一戦に臨む。試合は本日26日、有明アリーナで行われる。

マーロン・タパレス

階級を上げてわずか2戦目で2度目の4団体統一に大手をかけた井上。そんな井上の前に立ちはだかるタパレスは、WBAとIBFのベルトを持つ、勢いのあるボクサーだ。

デビュー当時は井上と同じライトフライ級だったが、徐々に階級を上げ、2019年12月以降スーパーバンタム級で戦っている。

プロ戦績は40戦37勝(19KO)3敗。初の世界タイトル獲得は31戦目、6戦目で井上が世界タイトルを獲得したのに比べて遅い奪取となった。

王座獲得後、初防衛戦を迎えるが、計量オーバーで王座剥奪。その後、連勝を重ねるも岩佐亮佑とのIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦でTKO負けを喫した。

この敗戦以降は、3戦連続KOを重ねている。もっとも最近の試合は、今年4月WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との対戦。

リオ五輪のメダリスト相手に、巧みなボクシングでペースを引き寄せ、2-1の判定で勝利し、2団体統一王者となった。

タパレスのスタイル

戦績だけ見ればKO率は5割ほどで高くはないが、最近の試合ではKO率が非常に高く、警戒が必要だ。

スタイルは左のファイタータイプで、振り回すようなフックが特徴的だ。また、フィリピンボクサー特有のタフさや強打を持ち合わせている。

体格は、井上が身長165cmでリーチ171cm、タパレスが身長163cmでリーチ165cmと数字だけ見るとそれほど差はない。

しかし、上体が柔らかく、飛び込みながらパンチを打ち込んでくるので、攻撃の範囲が広い。

過去には、独特な間合いをもつ勅使河原を相手に、的確にパンチを当ててKOに結びつけている。

KOの多くは前半のため、序盤の立ち上がりから警戒が必要だ。ボディで弱らせ動きが鈍くなったところで勝負をかけたい。

タパレスの筋肉

前日計量では、井上は55.2kg、タパレスは55.0kgでパスした。注目すべきはタパレスの腕の筋肉だ。

井上と比べてもひとまわり太く見えた。フック系が強い選手の特徴で、数多くのKOをこのパンチで奪ってきた。

フィリピンボクサーは、体全体ではなく、腕で強いパンチを打つため、腕の筋肉が発達している。

階級を上げ、さらにパワーが増しているため、警戒は高めていきたいところだ。

井上はバンタム級での4団体統一後からわずか2戦目でこの偉業に王手をかけた。前回のフルトン戦では序盤から圧倒し、8回TKO勝利で2つのベルトを獲得した。

階級を上げたばかりの試合で、無敗のフルトンを圧勝したからこそ、今回の4団体統一戦が実現したのだろう。

どんなボクサー相手でも手は抜かず、高いモチベーションで試合に臨んでいる。今回のタパレス戦に向けても油断は一切ない。

計量での様子を見ても、仕上がりは上々のようで好ファイトが期待できそうだ。世界でも稀に見る偉業、2階級での4団体統一を果たしてほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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