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井上尚弥の対戦候補に問題児ネリが浮上 井上に下された指名試合とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

12月26日に行われるWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)と、WBA・IBF世界同級王者のマーロン・タパレス(31=フィリピン)の4団体統一戦の勝者について、

WBC総会は、元世界2階級制覇王者でWBC世界同級1位のルイス・ネリ(28=メキシコ)との指名試合を命じるとを発表した。

統一王者と指名試合

指名試合とは、王者に対して一定期間の間に義務付けられるタイトル戦だ。

チャンピオンが弱い選手とばかり戦い、王座を守り続けることを防ぐためにできた制度だが、規定や期限は団体によって異なり、曖昧な部分が多い。

統一王者ともなると、2団体以上から指名試合の命令が下る可能性があり、ベルトの保持が難しくなる。

しかし、統一王者であればビッグマッチの機会にも恵まれるため、ベルトを返上して、指名試合をこなさず、名のある選手との試合に向かうケースも多い。

先日は世界ウェルター級4団体統一王者のテレンス・クロフォード(アメリカ)が、期限内に指名試合をこなせず、ベルトを剥奪された。

これは、3団体統一王者エロール・スペンスJrと契約していた、再戦を優先させた結果だが、過去の統一王者達も同様に、複数のベルト防衛し続けている選手はほぼいない。

階級を上げるか、王座返上によりベルトを手放している。

ネリについて

ネリは、バンタム級とスーパーバンタム級の2階級で王者になったボクサーだ。

サウスポースタイルのファイターで、これまで36戦35勝(27KO)1敗の戦績を誇る。

2月にアザト・ホバニシャン(アルメニア)を11RTKOで破り、WBCの指名挑戦権を獲得。

7月にはフローイラン・サルダール(フィリピン)を2RTKO下し、調子を上げてきている。

バンタム級時代は、嵐のような連打でKO勝利の山を積み上げてきたが、階級を上げてから一発で倒す試合は減っている。

過去の実績から実力者であることは間違いないが、ドーピング違反に計量オーバーと数々のトラブルを起こしてきた“悪童”としても知られている。

日本ボクシングコミッションからは、国内でのボクシング活動の永久停止処分を課されている。

もし井上との対戦が決まれば、国外での開催となりそうだ。

井上の次なるターゲットは

井上はフェザー級への進出も示唆しているが、これまでも階級アップには慎重な姿勢を見せている。

スーパーフライ級時代はタイトル挑戦も含め8試合、バンタム級時代には9試合こなし、

スーパーバンタム級では、前回のフルトン戦と今回のタパレス戦で2試合。

通常では考えられないペースだが、ビッグマッチの機会があれば、4団体統一直後にフェザー級に進出する可能性も大いにあるだろう。

井上はバンタム級で初となる4団体統一、PFP最強ランキング1位など我々の想像を超える結果を残してきた。

井上と対戦すれば大きな注目が集まりビッグマネーが動く。海外のボクサーからも注目され、対戦を望む声も増えている。

タパレス戦の結果次第にはなるが、間違いなく、この試合の主役は井上だ。

日本ボクシング界の歴史を塗り替えてきた井上が、この先どんなドラマを見せてくれるのだろうか。我々の想像を超えるような、さらなるビッグマッチへ進んでほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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