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井岡一翔の最大の刺客は次世代モンスター中谷潤人 対戦の可能性は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33=志成)は、年末にWBA同級王者のジョシュア・フランコ(27=アメリカ)と王座統一戦に臨む。

その試合の勝者に、前WBO世界フライ級王者の中谷潤人(24=M・T)との対戦を義務づけられたと報道された。これは世界ボクシング主要団体WBOからの指令で、井岡とフランコの勝者は180日以内に中谷と対戦しなければならないとされている。

中谷潤人の実力

中谷は2020年11月のWBO世界フライ級王座決定戦で、ジーメル・マグラモ(フィリピン)に8RKOで勝利し王座を獲得した。その後、2度の防衛戦後に王座を返上。階級を一つ上げスーパーフライ級に転向した。

プロになる以前に単身で渡米し、ボクシングの基礎を培ってきた。アメリカでも試合をこなし海外での評価が高いボクサーだ。

これまでの戦績は24戦24勝18KO。スタイルは170cmを超える長身のサウスポーで、接近戦にも強く、高いKO率に裏付けされたパンチ力もある。

以前、中谷のパンチを体感するためにミットに打ち込んでもらったことがあるが、フライ級とは思えないほどの威力があり体が吹き飛んだ。

将来は6階級制覇を目指している期待のボクサーだ。

今年11月1日に階級を上げてから初めての試合で、スーパーフライ級10回戦を戦った。対戦相手は元IBF・WBO世界ミニマム級王者のフランシスコ・ロドリゲス・ジュニア。

試合は序盤からプレッシャーをかけてくるロドリゲスに手を焼いたが、カウンターや左ストレート、アッパーを効果的にヒットさせ、見せ場を作りポイントを奪った。

その試合に勝利したことでWBO1位にランクされる予定で、指名挑戦者となる見通しだ。

念願の統一戦

井岡は毎年大晦日に試合を行っており、今年はWBA王者ジョシュア・フランコと対戦が内定している。

以前から統一戦を望んでいた井岡にとって、まさに待望の試合だ。本来は昨年末に元IBF世界スーパーフライ級王者のヘルウィン・アンカハスとの王座統一戦が決まっていた。しかし、新型コロナウイルスの拡大の影響で試合がキャンセル。

その後、アンカハスが現王者のフェルナンド・マルティネスに敗れたため、対戦の機会を失っていた。今回対戦するフランコはWBAレギュラー王者だったが、スーパー王者であったファン・フランシスコ・エストラーダが王座を返上したため、正規王者に昇格した。

勝敗の行方と展望

井岡が統一戦に勝利すれば、次戦の相手は中谷になるだろう。日本の新旧ボクサー対決として、ボクシングファンの間でも大きな話題となっている。

軽量級離れした体格を持つ中谷と、卓越した技術を持つベテラン井岡の対決は、勝敗を予想するのが難しい。

井岡や中谷だけでなく、激戦と呼ばれるスーパーフライ級にはタレントが多く揃う。現在は下記ボクサーがそのトップに君臨している。

WBA ジョシュア・フランコ(アメリカ)

WBC 空位

IBF フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)

WBO 井岡一翔

これに加えて、元統一王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、4階級王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、3階級王者の田中恒成(畑中)も健在だ。

その選手たちの中でも中谷はダークホースだろう。中谷に以前インタビューした時は、戦いたい相手として田中恒成の名前をあげていた。

元3階級王者で井岡との対戦経験もある田中との対戦も気になるところだ。

新旧対決も期待されるが、まずは年末に予定される井岡VSフランコ戦の結果次第となるだろう。盛り上がりを見せるスーパーフライ級の動向に注目したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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