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元K-1王者の武居由樹がわずか5戦でタイトル挑戦「ボクシングはリベンジ」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
甲斐誠 撮影

元K-1スーパーバンタム級王者の武居由樹(26=大橋)は、昨年3月にボクシングに転向し注目を浴びている。

デビュー戦から4戦全てをKO勝利でかざり、破竹の勢いでOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチにたどり着いた。

8月26日に初のタイトル戦を迎える武居に話を聞いた。

ーーーデビュー戦から現在にいたるまで、4戦4勝全KOという結果を残されていますが、振り返ってみてどうですか。

武居:結果だけ見れば上手くいっているかもしれませんが、自分にとってはここからがスタートだと思っています。

ーーーボクシングに転向してどうですか。手応えなどは感じていますか。

武居:全然まだまだですね。ボクシングは本当に難しいと毎日感じています。転向する前はボクシングにもすぐ慣れるだろうと、少し甘く見ていたのかもしれませんね。

ーーー転向したのはいつ頃ですか。

武居:発表したのは一昨年の12月、デビューしたのは昨年の3月ですね。

ーーーなぜボクシングに転向しようと思ったのですか。

武居:K1での最後の試合、2020年3月ですね、それが終わったら燃え尽きてしまって。正直、その試合へのモチベーションもなく、当然良い結果は残せずに終わりました。そんな時に前のジムの会長から「ボクシングやってみれば」と。それがきっかけですね。

ーーーキックボクシングをやる前は、ボクシングをしていたと聞いたことがあります。

武居:はい。高校時代はボクシング部に所属していました。部員は僕一人みたいな状態で、ときおり角海老ジムの方がコーチに来てくれたり、スパーリングなどに連れて行ってくれたこともありました。

ーーー高校でのボクシングはどうでしたか。

武居:良い結果は残せませんでした。だからこそ、その時のリベンジも含めてボクシングをもう一度やりたいなと。

そんな時に尚弥さんとドネア選手の試合を観て、ボクシングすごいな、という思いが生まれて。前のジムの会長と大橋ジムの会長が出会ったりとか、いろんな良い流れもあって、転向を決めました。

ーーーボクシングとキックボクシングの違いはどう感じていますか。

武居:挙げればキリがないですね、リズム、スピード、重心の位置とか…。キックの時は、蹴りがあったので攻撃のパターンがいっぱいありましたが、ボクシングは腕2本なので、攻め方・守り方が難しいですね。

ーーーキックボクシングの経験で、活かせていることはありますか。

武居:経験値とか試合慣れとか、自信は持ってこられました。25戦やってきたので、さいたまスーパーアリーナのような大きな会場でも緊張せずに戦えます。パンチ力とかもボクシングに活かせているので、良かったと思っています。

ーーー得意のパンチは。

武居:ストレートとか、真っ直ぐはあまり得意ではありません。K1の時はローキックとかで距離を取るので、ジャブもあまり使いませんでした。でも、外からのパンチは使っていたのでそこは得意かなと。

ーーー前回の試合の右フック、ナジーム・ハメドを彷彿させる打ち方でした。

武居:子供の時からあの打ち方をしていて、それを少しずつボクシングに落とし込んでいます。

元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーから指導を受ける
元世界3階級制覇王者・八重樫東トレーナーから指導を受ける

ーーー八重樫トレーナーとのミット打ちも、変則的な打ち方をしていましたね。

武居:あまり意識はしていませんが、もともと僕は綺麗なボクシングができなかったので、そのままなのかもしれませんね。

ーーートレーニングで意識していることは。

武居:パンチをもらわないこと、ディフェンスを意識していますね。

ーーー8月26日、いよいよ初めてのタイトルマッチとなりますね。不安などはありますか。

武居:不安はありますね。K1時代は4ラウンドしかやってこなかったので、5ラウンド以降は未経験なんです。ただ、スタミナに自信がない訳ではないので大丈夫だと思います。

ーーー八重樫さんとのトレーニングはどうですか。

武居:今は攻撃のバリエーションだったり、先ほども言ったディフェンス面だったり、幅広くやっています。僕が質問しても何でも答えてくれて、本当に八重樫さんと出会えて良かったです。

ーーー大橋ジムの環境はどうですか。

武居:入ってよかったと思います。大橋会長もすごい方ですし、先輩たちもみんなすごいので毎日刺激をもらっています。

ーーー同じジムの先輩には井上尚弥選手もいますが、一緒にトレーニングしたりしますか。

武居:マスは一緒にやったことがあります。尚弥さんがすごい方だというのはジムに入る前から知っていましたが、実際にジムに入ってより凄さを知ったという感じですね。

ーーー井上選手のどんなところがすごいと感じましたか。

武居:パンチもステップも全てです。ずっと見ていても、そこまで自分も到達できるのか、本当に遠くにいると感じますね。ジムに入る前はパンチ力に自信があったのですが、尚弥さんを見てから、あまりそういうこと言えなくなってしまいました。

ーーー今後の展望は。

武居:もちろん世界王者になりたいという気持ちはあります。ですが、まずは目の前の試合に勝たないと、そんなこと言ってられないので。今はそこに集中していきます。

ーーーまずは8月のタイトルマッチですね。

武居:はい。大橋会長から大きいチャンスをいただいて、ファンの方達からの期待も感じているので、これを力に変えて絶対に勝ちます。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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