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朝倉未来がメイウェザーと対戦 勝てる可能性は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:REX/アフロ)

14日の記者会見で、ボクシング5階級制覇フロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ)と、朝倉未来(トライフォース赤坂)の対戦が発表された。

メイウェザーの偉業

メイウェザーはボクシング界のレジェンドだ。

アトランタ五輪で銅メダルを獲得してプロデビューを果たし、スーパーフェザー級からスーパーウェルター級まで5階級を制覇している。

スピードとディフェンスが特徴的で、パンチをもらわないボクサーとして有名だ。

2015年に現役を引退しているが、エキシビションなどで度々リングに上がっている。

対戦相手はボクサーではないが話題性のある人物ばかりで、2017年にはコナー・マクレガー、2018年末には那須川天心、2021年6月にローガン・ポール、そして今年5月にはドン・ムーアと対戦している。

引退してからもメイウェザーがリングに上がり続ける理由は、破格のファイトマネーにある。

現役時代には10億ドル(約1300億円)を稼ぎ、ついたあだ名は「マネー(お金)」。

総合格闘家のマクレガーとの試合では、約300億円稼いだと言われており、他のエキシビションでも破格のファイトマネーを得ている。

勝敗の行方

今回対戦するのは日本の総合格闘家のエース朝倉未来だ。

朝倉は20戦16勝3敗1分の戦績で、RIZINを主戦場として活躍するファイターだ。

ファイタータイプで一発のパンチが強いため、メイウェザーにパンチが当たれば面白い展開になるだろう。

ボクサーとその他の格闘技の選手ではパンチを打つタイミングが若干異なる。

ボクサーのパンチは動きに規則性があるが、総合格闘技やキックボクシングの選手のパンチは読みづらく、予想外のタイミングで来る。

私もボクシング以外の格闘技の選手と戦い、想定外パンチを打たれ、不意をつかれたことがある。

メイウェザーが朝倉の動きに慣れる前に、一発でもパンチが当てられればチャンスはあるだろう。

メイウェザーのディフェンス

とはいえ、メイウェザーにパンチを当てるのは至難の技だ。トップレベルのボクサーであっても、クリーンヒットさせた選手は少ない。

それほどまでに、メイウェザーのディフェンスは完成されている。更に試合が長引けば長引くほど、経験豊富なメイウェザーが有利になる。

5分3ラウンド制のRIZINのルールと、最高12ラウンドで戦うボクシングではスタミナやペース配分が異なる。

朝倉が勝利するためには、序盤から仕掛けていかなければならない。早い段階で乱打戦に持ち込めば勝機はある。

試合のルールはこれから発表されることになるが、おそらくメイウェザーにとって有利なものになるだろう。

メイウェザーは無敗であることが、自身の商品価値だと理解している。万が一にも、自分が不利になるようなルールでは戦わないだろう。

ボクサーとエキシビション

最近のボクシング界は、引退した選手によるエキシビションマッチが増えている。

2020年11月には世界ヘビー級統一王者のマイク・タイソンが、世界4階級制覇王者のロイ・ジョーンズと8ラウンドのエキシビションで戦った。

その他にも、世界3階級制覇王者のフリオ・セサール・チャベスが、元5階級制覇王者のホルヘ・アルセと戦い話題を呼んだ。

このような元世界王者達によるエキシビションマッチのトレンドを作ったのはメイウェザーだ。

メイウェザーが現役選手以上に稼ぐ道を作ったことで、他の選手も追随する形となった。レジェンド達による引退後の試合は、ファンにとって夢のカードだろう。

しかし、怪我などの危険性が高いのも事実だ。

引退を決意した選手は、その多くが身体能力の衰えや怪我などが原因だ。万全でない状態でリングに上がることは、命の危険が伴う。

開催には選手の安全を第一に、万全の対策を期すべきだろう。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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