「もうギリギリなんです」会長となった亀田興毅が語った危機感
ボクシング元3階級王者の亀田興毅氏(35)が会長を務める3150ファイトクラブで、初の興行が開催される。
16日にメルパルクホール大阪で行われるこの試合には、元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(33=3150ファイトクラブ)やクルーザー級で活躍した西島洋介氏(48)などが出場する。
AbemaTVとタッグ
現役中から派手なプロモーションで注目を浴びていた亀田興毅氏は、引退後も様々な企画に出演している。
AbemaTVの亀田興毅に勝ったら1000万円企画や、元WBC世界フライ級王者ポンサクレック・ウォンジョンカムとのエキシビションマッチ、最近では格闘家の那須川天心との対戦で大きな注目を浴びた。
「ネット社会の加速がすごいですよね。これからはネット配信が主流になっていくと思います。ボクシングももっと取り入れて行かなければいけません」
天心戦以降は自らリングに上がるのではなく、プロモーターとして活動している。
自身も出演したAbemaTVと組むことで、新たなボクシングファンの獲得を目論んでいるようだ。
「格闘技ファンが一番多いのはAbemaTVだと思います。K1とかRIZINとか、全部放送しているじゃないですか。そこでボクシングの試合をしっかりとした中継で放送したいと考えています」
ボクシングと格闘技の視聴者層は若干違う。競技性の強いボクシングには中高年のファンが多く、演出やストーリーを好む格闘技は若い世代からの人気が高い。
AbemaTVで放送することで若い世代の格闘技ファンもボクシングに興味を持つだろう。
レジェンドの参戦
今回の興行にはレジェンドボクサーが登場する。
ヘビー級で活躍した西島洋介氏だ。ボクサーとして約18年ぶりにリングに復帰する。
西島氏は元WBF世界クルーザー級チャンピオンで、27戦24勝(15KO)2敗1分の戦績を誇る。日本人として重量級で最も期待されたボクサーだ。
ボクシング引退後はK1や総合のリングで活躍していたが、「最後はボクシングに戻って終わりたい」と話し、今回のエキシビションマッチが実現した。
対戦相手は3150ファイトクラブ所属の但馬ミツロ(27)、アマチュア5冠の実績があるボクサーで国内では数少ない重量級のボクサーだ。
会長の興毅氏が「今まで日本でヘビー級チャンピオンになった選手はいません。日本ボクシング界の夢なんです。ミツロに関してはその可能性がある」と絶賛しているほどの逸材だ。
国内の重量級選手が少なく、新型コロナウイルスの影響もあり、なかなかデビュー戦が決まらなかった。
公式試合ではないが、体格が同じくらいの西島氏との対戦は貴重な経験になるだろう。
また、元世界王者の宮崎亮の復帰戦にも注目したい。宮崎にとっては実に5年半ぶりのリングとなる。
この試合の出来次第だが、興毅氏いわく「来年には国内タイトルを狙わせて再び世界を目指していくようだ。
6回戦での試合となるが、ファイトマネーは破格の200万以上になるとの話もあった。
今後の展望
興毅氏は、ボクシング界の現状に危機感を抱いている。
「もっと稼げる業界にしなければいけない、ボクサーの地位を向上させたいです」
新型コロナウイルスの影響もあり、活躍の場を失い引退するボクサーも増えている。
もっと選手たちにスポットが当たる舞台を増やしていきたいと、今回の取り組みをスタートした。
「まずはAbemaTVで無料放送をやりながら、いいカードができたらペイパービューにもチャレンジしていきたいと思います。
正直もう亀田興毅というネームバリューはギリギリなんですよ。今の若い子達は僕のことを知らないでしょう。名前があるうちに下の世代に繋がなければ。自分の名前を一つのフックにしながら、この興行を盛り上げていって、選手たちの知名度を上げていきたいと思います」
ボクシングの発展のために、ライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」とのコラボやYouTubeチャンネルを使ったプロモーション、AbemaTVでの配信など新しい取り組みにチャレンジしている。
今回の取り組みでボクシング界に新しい風を吹き込めるか、ボクサー・亀田興毅から会長・亀田興毅になった彼の、今後の活躍に期待したい。