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軽量級の速さを持つミドル級ボクサー森脇唯人 メダルを意識したきっかけ

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

東京五輪ボクシング男子ミドル級に出場する森脇唯人(24)。

2012年にロンドン五輪で金メダルを獲得した村田諒太の再来といわれ、金メダル獲得が期待される選手だ。

身長188cmと日本人離れした体格を持ちながら、軽量級のような速さを持つ。

26日に行われた初戦では、東京五輪アジア・オセアニア予選で完敗を喫したサイードシャヒン・ムサビ(イラン)相手に3-2で雪辱を果たした。

1ラウンドでは相手のバッティングに苦しんだが、2ラウンドからは落ち着いた戦いぶりで長いリーチを活かし、ポイントを積み重ねた。

「自分の距離で戦えれば負けない」と話していたように遠距離では抜群の強さを誇る。

軽量級のようなスピードを持つ

森脇がボクシングを始めたのは高校生からだ。

小学5年生から中学3年生まで空手をやっていたが、反則ばかり取られることを嫌がり、卒業後にボクシングの名門・駿台学園高等学校で本格的にボクシングを始めた。

高校時代は目立った成績を残せなかったが、法政大学に進学後、才能が開花し全日本選手権で3連覇、五輪のテスト大会では金メダルを獲得した。

海外での実績もあり「スピードやテクニックに関しては、全然負けていない、

むしろ自分のほうがあるのではないかというぐらい」と自信を持つ。

森脇の特徴は大柄な体格から繰り出されるスピードパンチだ。ボクシングでは重い階級になるほどスピードは遅くなる。

しかし、森脇のハンドスピードは速く長いリーチとともに脅威だ。

相手からしたら中に入り込まなければならず、戦いづらいだろう。

ウズベキスタンコーチのウラジーミル・シン

森脇が五輪でメダル獲得を意識できたのは、新コーチの存在も大きい。

2018年から日本代表を指導するのはボクシング大国ウズベキスタンでコーチをしていたウラジーミル・シン氏だ。

2016年のリオ五輪では出場国最多7個のメダルを獲得させたのがシン氏だ。

階級も近いことから森脇は直接指導を受けていた。私が合宿に行った時も、シン氏が熱心に指導している姿が見受けられた。

「シンさんが来られてからは、ウズベキスタンのボクシングを練習でも取り入れてもらったので、新しいボクシングの作り方や、今まで自分が考えもしなかったボクシングを教えてもらえてすごく刺激になります」と話している。

五輪で実績を残しているコーチが身近にいるのは選手の励みになるだろう。

東京五輪に向けては「東京五輪だから金メダルを取らなければという特別感はありません。目の前の試合に負けないという意識で、結果のことを考えすぎず、一番良いプレーができるように意識しています」と意気込みを語った。

また、2012年にロンドン五輪で金メダルを獲得した村田諒太には特別な想いもあるようだ。

「日本人が重量級で金メダルを獲得するのは不可能だと言われていました。村田さんの存在がミドル級で戦う自分達に希望を与えてくれました。本当にリスペクトしています。村田さんに続けるように、自分も金メダルを獲りたいです」

次戦は7月29日に強敵のオレクサンドル・ヒズニャク(ウクライナ)と対戦する。

得意のリーチとスピードを武器に勝ち進んでほしい。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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