中谷正義がロマチェンコ撃破へ自信「実績はすごい選手だが勝機はある」その理由とは
アメリカのラスベガスで26日(日本時間27日)、ボクシング元世界3階級王者のワシル・ロマチェンコ(33=ウクライナ)とライト級ノンタイトル戦を戦うWBO同級5位の中谷正義(32=帝拳)に独占インタビューした。
ロマチェンコの対戦
ーーーロマチェンコとの対戦が決まって、率直にどう思いました。
中谷:まず驚きました。いつか戦いたいと思っていましたが、今の自分の実績を考えると無理だと思っていたので。この試合を決めてくれた帝拳ジムに感謝です。
ーーーどういう経緯で決まったのですか。
中谷:詳しくは覚えていませんが、ロマチェンコがインスタグラムで「僕とロマチェンコの試合をやるけどどうか」みたいな投稿をあげていました。その数日後に会長から「試合が決まるかもしれないけどどうする?」と、すぐやりたいですと伝えました。
ーーーーロマチェンコへの印象は。
中谷:すごい選手ですよね。実績だけ見れば天と地ほどの差があると思いますが、下の階級から上げてきた選手なので勝機はあると思います。
試合に向けて
ーーーロマチェンコとロペスの試合をみましたが、ロマチェンコはロペスの距離に戸惑っているように感じました。ロペスは中谷選手の距離に戸惑っていたように感じました。中谷選手の分析は。
中谷:オーソドックスとサウスポーは相手の外側を取るのがセオリーで、ロマチェンコも外側をとるのが好きな選手です。あの試合でロペスは外側を気にせず右回りが多かったので、ロマチェンコがやりづらかったのではないでしょうか。
ーーーあの戦い方は参考になりそうですか
中谷:参考にできる試合でしたね。外をとられないようにしながらも、あのように動けばエスケープしやすいというのが見えたので、焦ることはなさそうです。
ーーーどういうところがロマチェンコに通じると思いますか。
中谷:体格差と距離ですね。階級差があるのでパンチ力は勝っていると思います。
ーーー試合の対策は。
中谷:顔は当てにくいと思います。ボディを中心に攻めていきたいところですが、簡単には当てさせてくれないでしょう。
前半、中盤をいかに自分の集中力を切らさずに、我慢して戦っていけるような展開を意識して練習しています。
ーーー我慢して、ということはディフェンス強化などもしているということでしょうか。
中谷:シャドーなどで打った直後の隙を突かれないように、すぐにディフェンスに切り替えて、返していけるような練習をしています。
ーーー攻撃一辺倒にならないようなトレーニングをしているということですね。ミット打ちなどでも意識してトレーニングしていますか。
中谷:田中繊大トレーナーから、あて急ぐなと言われます。僕がいつもドーンと行っちゃうので(笑)。
ーーー慎重に戦っていく感じですかね。
中谷:はい。慎重に、かつ大胆に戦います。
村田諒太からのアドバイス
ーーー復帰してから今に至るまでどうでしたか。
中谷:あっという間でしたね。
ーーー移籍した帝拳ジムはどうですか。
中谷:最初はすごく厳しいのかなと思っていたのですが、程よい緊張感でプロ意識を育てていけます。とても良い環境ですね。
ーーージムメイトもすごいですよね。
中谷:はい。村田諒太さんや尾川堅一さんは、僕がスパーリングをしてる時にアドバイスをくれたりします。
以前のジムでは後輩しかいませんでしたが、先輩がいると心が落ち着きますね。引っ張っていってもらえて嬉しいです。
ーーー具体的にどんなアドバイスをもらいましたか。
中谷:スパーリングや試合で強く当てたいという気持ちが前に出てしまう癖があります。村田さんが「全て当てに行かなくていいんだよ、当てたいパンチを隠す意味でもフェイントを入れるといい」とアドバイスしてくれました。それで、気が楽になりましたね。
ボクシングの魅力を知ってもらいたい
ーーー工夫しているトレーニングはありますか。
中谷:トレーナーにパンチを素手で打ってもらって、動きのシミュレーションをしています。
ーーー手応えはありますか。
中谷:そうですね。それをやってから調子が上がりました。冷静な状態でディフェンスと攻撃を考えられます。
ーーー練習環境も変わってレベルアップが実感できましたか。
中谷:はい。まだ短期間なので全てを変えるのは難しいですが、良いところは取り入れて取捨選択しながらやっています。
ーーー日本人のライト級で世界王者は2008年に獲得した小堀佑介さん以来出ていません。海外との壁や差をどう感じますか。
中谷:日本人が勝てない理由は単純にアメリカのリングを知らないからだと思います。現地に行ってからみんなぶっつけ本番でやるわけではないですか。実力が拮抗した相手だとしても、小さな違いが大きな差になってくると思います。
ーーー中谷選手はロペス戦とベルデボ戦とこなしてきましたが、アメリカのリングには慣れましたか。
中谷:リングに入るまでは慣れましたが、レフェリーには慣れませんね。クリンチを早く止める人もいれば逆の人もいたり、それぞれなので。
ーーー今後の展開は。どこを目指していますか。
中谷:ロマチェンコに勝ったらロペスという話は上がってくると思います。その試合が決まれば嬉しいです。
そして、これからの人生のためにも世界王者になりたいです。
ーーー世界中に注目される試合、意気込みはどうですか。
中谷:勝つつもりではいますが、相手も相当いい選手なので、あとは時の運という風に捉えています。
ーーーファンの方へメッセージをお願いします。
中谷:ロマチェンコ戦を通じて初めて僕を知ってくれた方もいると思います。僕の試合を見てボクシングの魅力を知ってもらえたら嬉しいです。楽しみにしていてください。
中谷正義(なかたに・まさよし)
大阪府大阪市出身、32歳、帝拳ボクシングジム所属、WBOインターコンチネンタルライト級王者、第46代OPBF東洋太平洋ライト級王者。戦績は19戦 18勝(12KO)1敗。