キックボクサーの那須川天心(22=TARGET/Cygames)が、東京ドームで行われた格闘技イベントRIZIN28で、3名の格闘家と変則のスペシャルマッチに挑んだ。

天心は2022年3月のRISE大会を最後にキックボクシングを引退し、ボクシングに転向することが決まっている。

異例のスペシャルバウトとは

今回は下記の特別ルールで試合が行われた。

・足によるあらゆる打撃行為を禁止としたスタンディングバウト

・試合は3分3ラウンドで、1ラウンドごとに相手が変わる。

・判定は実施しない。

試合では、キックボクサーの大崎孔稀、HIROYA、そしてミスターXとして登場した総合格闘家の所英男と対戦した。

一人目の大崎選手とは互角の戦いを見せ、二人目のHIROYAからはダウンを奪う。

三人目の所英男選手とは、カウンターを合わせダウン寸前まで追い込んだ。

1ラウンドごとに相手が変わるというのは、過酷に思えるが必ずしもそうとは限らない。

相手は常に勢いがあるが、間合いやタイミングを掴むには時間がかかる。

体力よりも、相手のタイミングに自分のリズムを合わせるのが1ラウンドだけでは難しいのだ。

今回の試合では、一人目の大崎選手との試合が一番見応えがあった。

天心も徐々にペースを掴み後半になるにつれて動きも良くなった。

正直なところ、キックボクサーや総合格闘家相手との対戦では天心のボクシングの実力を測るのは難しい。

では、現時点での天心のボクシングの実力はどのくらいなのだろうか。

天心の実力

天心はサウスポーという利点を持っている。ボクシングでは圧倒的に右構えが多いため、絶対数が少ない左構えというだけで有利だ。

また、非常に反射神経が良くパンチを見切るディフェンス能力も高い。今回もパンチをほとんど貰わなかった。

攻撃のバリエーションも豊富で、多彩なコンビネーションと急所を的確に打ち抜く当て感も持っている。

試合でも相手の虚をつくタイミングでパンチを打ったり、打ち終わりにカウンターを合わせていた。

現時点で足りない部分といえば、接近戦での攻防や長丁場を戦い抜くスタミナくらいだろう。

キックボクシングは3分3ラウンドだが、ボクシングになると短くても4ラウンドから12ラウンドになる。

そのため、スタミナの配分や戦い方をラウンドごとに変えていく必要がある。

この辺りは1年もあれば天心なら物にできるだろう。

ボクシングの世界は広い

天心がボクシングで主戦場としていく階級は、バンタム級からフェザー級。

このあたりの階級は中南米やアメリカ、アジアにも多くのボクサーがいて層が厚い。

キックボクシングでは相手が少なく、マッチメイクに苦労しているようだが、ボクシングでは有力選手が豊富にいる。

世界的に活躍している井上尚弥を筆頭に強豪が多い。

そこで勝ち抜いていくためにも、更なるモデルチェンジは必要にはなってくるだろう。

ボクシングではアマチュアボクシングからプロに転向するケースが多い。

井上尚弥は高校時代に史上初のアマ7冠を達成し、プロに転向。そこから世界王者になるまで僅か6戦で世界のベルトを獲得した。

タイミングもあるが、実力があれば短期間で世界王者になる選手もいる。

試合後のインタビューでは「本気で世界チャンピオンを取ろうと思っている。那須川天心に夢を託してください」と語っていた。

キックボクサーとしての那須川天心の戦いは、残すところあとわずかだ。

悔いのない形で卒業し、ボクシングの世界でも伝説を作ってほしい。