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驚異のKO率を誇るスラッガー栗原慶太 井上拓真との対戦に「倒して勝ち切りたい」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真全てスタッフ撮影

2021年1月14日、後楽園ホールで東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(一力)が前WBCバンタム級暫定王者の井上拓真(大橋)と対戦する。

栗原は、15勝のうち13のKO勝ちを誇るハードパンチャーだ。前回の試合では世界ランカーを相手に2ラウンドKOで勝負を決めた。

今回の試合は、スラッガー(栗原)対オールラウンダー(井上)と銘打たれ注目されている。

試合を控えた栗原に話を聞いた。

今までで一番のビッグネーム

――試合が決まった経緯は。

栗原:昨年の8、9月ぐらいにジムの会長から「大橋ジムにダメ元で頼んでみるから、試合をやってみないか?」と話をいただき、その3日後に試合が決まりました。

――決まった時の心境は。

栗原:本当に嬉しかったですね。コロナ禍の今だからこそ決まったのかなと、なかなかないビッグチャンスが巡ってきたなという感じでした。

――決まったときの周囲の反響は。

栗原:井上選手は、勤めているスポーツクラブのお客さんのほとんどが知っていたので、それだけ知名度のある選手なんだと再認識しました。今までで一番のビッグネームで楽しみです。

――スラッガー対オールラウンダーと銘打たれていますが。

栗原:前回の試合からスラッガーと通り名をつけていただきました。井上選手はオールラウンダーと言われているだけあり総合力では上ですが、僕は逆に突出した部分で勝負していきたいです。

井上拓真の印象

――井上選手のことは以前から意識していましたか。

栗原:同じ階級の上にいる選手だったので意識していましたね。僕もYouTubeで「井上拓真選手とやりたい」と公言していたので。

――井上選手の印象は。

栗原:総合力が優れている。特に反応などのスピードが早いですね。

――試合のイメージはできていますか。

栗原:だいぶまとまってきています。井上選手はおそらく自分のスタイルを貫いてきます。ただ、前回のウーバーリ戦では攻め切れてなかったので、もしかしたら前回よりは出てくるのかなと。

――仕上がりはどうですか。

栗原:いい感じです。

――どんな試合になりますか。

栗原:KO勝利が期待されていると思います。僕にチャンスがあるのは前半かなと。

ブランクについて

――トレーニングで意識していることはありますか。

栗原:前回の試合から期間が空いたので、いかに自分の強みを活かせるかが鍵ですね。得意のパンチを当てる感覚は磨けたと思います。

――前回の試合からのブランクはどのぐらいですか。

栗原:前回が2019年の11月だったので、一年とちょっとですね。

――この一年はどんな年でしたか

栗原:以前は怪我などのブランクが多かったのですが、今回に関しては怪我もなく一年が過ぎたので、だいぶ成長できたと思います。成長を見せられる試合になると思います。

――前より強くなった自分をリングで確かめたいですね。

栗原:そうですね。コロナ感染に注意していたので夏場はあまり追い込まずに、いつもと違うトレーニングをしていました。それによってディフェンス力が向上しました。

――フィジカルはどうですか。

栗原:初めてパーソナルトレーナーのサポートがついたことで、だいぶパフォーマンスがあがりました。体のデータを数値化して見せてくれるので、今まで以上に安心してトレーニングができています。

―――自分の強みはどこにありますか。

栗原:スポーツクラブで働きながら勉強をしているので、フィジカル面は人より優れていると思います。強いパンチを打つにはどんなトレーニングをしたらいいのかなど、理解していますね。

――この一年でより磨きがかかったのでしょうか。

栗原:そうですね。スキルは随分上がったと思います。

――今は世界ランキングもIBF4位です。今後の展望や目標は。

栗原:井上選手に勝利すると3団体のランキングに入ってチャンスが広がります。今後WBO王者のジョンリル・カシメロ(フィリピン)にも挑戦する機会があると思います。

倒して勝ち切りたい

――この階級の頂点にいる井上尚弥選手についてはどう思いますか。

栗原:日本史上最強だと思っています。海外での評価も高いですね。チャンスが巡ってきても、自分の実力でどれだけ通用するのかという気持ちで臨むと思います。試合が決まったらワクワクしますね。

――今回の試合への意気込みはいかがですか。

栗原:過去を振りかえっても、これだけ強い相手と戦ったことはありません。下馬評でも8-2とか7-3で不利の予想ですが、だからこそ楽しみです。

僕は高校からボクシングを初めて、叩き上げでプロに入りました。かたや井上選手はアマチュアエリート。

ボクシングの歩みは全然違うけど、僕が勝つことで他の叩き上げボクサーの希望になるのではないでしょうか。だから、勝つことにすごく意味があると思っています。

――ファンへのメッセージはありますか。

栗原:注目していただいてありがたいです。下馬評不利と言われている中、勝利に期待してくださっている方も多いです。皆さんの期待に応えられるような試合をしたいと思います。

苦戦はすると思うけど、しっかりと倒して勝ち切りたいですね。

――バンタム級が盛り上がっていますが、意識するライバルはいますか。

栗原:比嘉大吾選手や堤聖也選手。ユースチャンピオンの石井渡士也選手など、名前をあげたら切りがないですが、その中でも井上選手は頭ひとつ抜けている存在だと思います。

今回の試合に勝つことで国内ナンバー1の座につきたいですね。

【プロフィール】

栗原慶太(くりはら・けいた)

東京都墨田区出身。27歳。第48代OPBF東洋太平洋バンタム級王者。一力ボクシングジム所属。

戦績は20戦15勝13KO5敗。スポーツジムに勤務しており、体の研究をしながらボクシングに活かしている。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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