元世界王者の伊藤雅雪が激戦のライト級に進出「まずは国内を荒らす」
12月26日墨田区総合体育館で元WBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪(29=横浜光)と東洋太平洋同級王者・三代大訓(26=ワタナベ)が対戦する。
当初は11月5日に開催予定だったが、伊藤が急性虫垂炎(盲腸)となったため延期となっていた。試合はライト級10回戦で行われる。
試合に向けて調整を重ねる伊藤にインタビューを試みた。
キャリア最長のブランク
ーーー1年3ヶ月ぶりの試合ですね。
伊藤:かなり期間が空いてしまいました。キャリア最長のブランクなので今まで以上に風邪や怪我、コロナには慎重になっています。
ーーー期間が空いたことで身体的な影響はどうですか。
伊藤:減った部分を埋めながら全体的な底上げはできていると思います。試合カンはこれから取り戻していきます。
ーーー実戦練習もできていますか。
伊藤:盲腸の影響でお腹を殴ってはいけない時期があったので、最近やっと通常のスパーができるようになりました。
対戦相手の三代について
ーーー対戦相手・三代選手の印象を聞かせてください。
伊藤:怖さはそんなにありませんが、難しい選手ですね。
僕にとってスピードやパンチがある選手は戦いやすいのですが、三代くんのような独特のリズムを持った選手はやりづらいです。
スピード・パワー・目の良さは僕が勝っていると思いますが、全体的な技術が高く安定感のある選手なので、どう崩していくかが課題ですね。
ーーーライト級に上げて2回目の試合となりますが、減量はどうですか。
伊藤:前回でだいぶ慣れました。スーパーフェザー級だと筋肉も落とさなければいけなかったので、10キロぐらい落としていました。
普段が69キロぐらいなので、そこから59キロだと結構キツかったですね。今のライト級ぐらいがナチュラルです。練習でも動きがよくなりました。
吉野一択
ーーー同じライト級で気になっている相手はいますか。
伊藤:日本、東洋、アジアの3つのベルトを持つ吉野修一郎選手(29=三迫)ですね。
以前、試合がしたいと声をかけたのですが、決まっていた防衛戦を理由に断られました。
そこに三代くんが浮上してきて、今回の試合が決まりました。自分の中では、吉野一択だったので三代くんは想定外でした。
ーーーなるほど。吉野一択ということは、次戦は吉野選手の可能性が高いですね。
伊藤:日本人だったら彼以外考えられません。戦えなかったら海外に出ます。
ーーーファンも期待していると思います。伊藤選手と吉野選手はSNSでも注目を集めていますね。(吉野と伊藤でSNSでやりとりがあった)
伊藤:これはこれで面白いですよね(笑)、ボクシングはエンタメですから。
今回の興行も、今までとは違った新しい試みで行われます。
僕がスポンサーを8割ぐらい集めて、ジムと共同で主催し、ゲストも元WBC世界バンタム級王者の山中慎介さんや元プロ野球選手の長嶋一茂さんなどに来ていただきます。
照明も世界戦なみの派手な演出を用意しています。その舞台で三代くんに勝って「次は吉野とやります!」と宣言したいですね。
ーーー吉野選手との試合が決まれば、更に国内ライト級が盛り上がりますね。
伊藤:そうですね、特に海外はライト級が熱いじゃないですか。あそこに入るには僕も勝ち得ないといけないものがあります。
今コロナの影響もあって海外に行けないので、まずは国内から荒らしてやろうかなと。
ーーー国内のマッチメイクが盛り上がってきましたね。叩き上げからここまでこれた要因は何でしょうか。
伊藤:以前在籍していたジムでは自主的にトレーニングする環境だったので、自分で考えて積極的に外に出続けていました。
そういう状況でハングリー精神がついたからだと思います。
ーーー最後に、試合に向けて意気込みをきかせてください。
伊藤:今は三代くん、吉野選手との試合に生きがいを感じています。
国内での面白いイベントを企画していくので注目してほしいです。国内ライト級での潰し合いを楽しんで観てください。
今回の試合では伊藤自らがプロデュースに関わり演出にも力を入れている。国内のボクシングを盛り上げていきたいという伊藤の想いが伝わってきた。
世界王者になってから新たなスタートを切った、伊藤の活躍に期待したい。