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井上尚弥の対抗王者カシメロが圧勝「次はイノウエ」統一戦への期待が高まる

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

26日(日本時間27日)アメリカでWBO世界バンタム級タイトルマッチが行われ、王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)が同級11位デューク・ミカー(ガーナ)と対戦した。

カシメロは今年の4月に井上尚弥(27=大橋)と対戦予定だったが、新型コロナウイルスの影響で試合が延期。

交渉が難航し今回の試合となった。

カシメロは昨年の11月にタイトルを獲得して以来の試合だ。対するミカーは24戦24勝(19KO)の戦績で、初の世界挑戦となった。

試合の展開

序盤からカシメロが自慢の強打をミカーに浴びせ、左右のフックを振り回しペースを握っていく。

打ち終わりにガードが緩みパンチをもらうが、構わず攻め続ける。

2ラウンドに入るとより一層圧力をかけていく。2ラウンド1分過ぎには、カシメロの左フックから右のクロスが直撃し、ダウンを奪う。

ミカーもカシメロの強打に押されて手数が少なくなる。

3ラウンドに入ると、さらにプレッシャーを強めて強打を振り回す。

相手の勢いが落ちてきたのを感じたのか、ノーガードになりながらもパンチを振り回す。

ロープにつめてアッパーを連打したところで、レフリーが試合をストップ。

カシメロが圧倒的な強さを見せつけて3RTKO勝利。王座を初防衛に成功した。

試合後には、片手で腕立てふせを披露する余裕を見せた。

カシメロの強さ

カシメロの強打が爆発した試合となった。最近では6連続KO勝利と絶好調だ。

ときおりパンチをもらうなど防御に隙があるが、それをカバーするほどの攻撃力を持っている。

一発を全力で打つので、相手も警戒してディフェンスに回ってしまう。結果、後手になりペースを奪われてしまう。

カシメロにとって攻撃が最大の防御である。しかし、ディフェンスだけ見れば、打ち終わりなどにパンチを被弾する場面もあった。

前半に強いが、後半になると動きも落ちる。その辺り隙があるだろう。

「次はイノウエ」

対抗王者の井上尚弥は、10月31日に(日本時間11月1日)WBO1位のジェイソン・マロニー(オーストラリア)との試合が決まっている。

その試合に勝利すれば、次戦で対戦する可能性は十分にあるだろう。

カシメロも井上を意識しており、メディアを通して挑発を繰り返している。

試合後のインタビューでも「次はイノウエだ、お前はモンスターじゃない」と強気な発言をした。

井上も自身のSNSで「あんな大振りでは俺に当てる事はできないだろう」とコメントし早くもヒートアップしている。

両者ともにKO率が高く、目が離せない試合となるだろう。

井上を中心に盛り上がりを見せる、バンタム級戦線に注目だ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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