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3階級王者の田中恒成「今だからこそ向き合ってほしい」ボクサー達へのメッセージ

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
FUKUDA NAOKI提供

新型コロナウイルス感染拡大の影響でボクシングの試合の延期やジムの休館が続いている。

この苦境の中、選手がどのように過ごしているのか。また、どんな影響が出ているのか。

無敗で3階級を制覇した王者田中恒成(24=畑中)に電話取材を試みた。

コロナウイルスの影響

ーーー田中選手の住んでいる名古屋市ではコロナウイルスの影響はどうですか。

田中:店を閉めているところが多いですね。外出を自粛している人も多い印象を受けます。

僕も決まっていた予定を全てキャンセルして、食事は家でとっています。

ーーーなるほど。感染症対策として行なっている事はありますか。

田中:基本的に外出しないようにしています。

用事で外に出る時はマスクをしてアルコール消毒スプレーを持ち歩いています。

ーーー畑中ジムも休館しているのですか。

田中:今後の状況によって変わるかもしれませんが、4月頭から4月末まで閉めています。

ーーー約1ヶ月ジムが休館するということですね。トレー二ングに影響はありますか。

田中:朝のランニングや昼のフィジカルトレーニングもできていますので、日常的なリズムは今まで通りです。

ーーースパーリングやマスボクシングができないぐらいで、基本的にはいつも通りですか。

田中:そうですね。

年内に試合がしたい

ーーーコロナウイルスの状況にもよりますが、次戦が待ち遠しいですね。

田中:はい。今年中に4階級制覇という目標を立てたのですが、とりあえず今は年内に1回は試合をしたいです。

ーーーそうですね。期間は空いてしまうと思いますが、フライ級からスーパーフライ級に上げて、体を作る期間と思えばちょうどいいのかなと思います。

田中:はい。この状況でも練習は充実していますし、やりたいことも明確にできています。

まだ次戦は未定ですが、前回の試合よりレベルアップした姿を見せることができると思います。

ーーーすでに準備は整っていますか。

田中:まだ完璧ではありませんが、プロボクサーとしていつでも試合ができるように整えていくつもりです。

ーーー先が見えない状況ではありますが、メンタル面での影響はありますか。

田中:前回の大晦日の試合から次戦がいつになるのか分からないので、正直あまりモチベーションは上がりません。

ーーー試合日が決まらないと気持ちが作れませんよね。減量や食事はどうですか。

田中:意識しているのは、カロリーを抑えながら鳥の胸肉などで1日にタンパク質を120g取ったり、プロテインを飲んだりしています。

本人提供
本人提供

SNSでの発信

ーーートレーニング以外の時間、自宅ではどう過ごしていますか。

田中:テレビをみたり、リラックスして過ごしています。

ーーーSNSで見たのですが、京口選手と八重樫選手の似顔絵を描いてませんでしたか(笑)

田中:描きました(笑)京口くんから「恒成も描いてみて」って言われて。

ーーー同じ現役選手からバトンが回ってきたんですね。

田中:そんな感じです。

ーーー今の時期だからこそ、新しく挑戦してみたいことはありますか。

田中:試合がないのでSNSなどでみんなに楽しんでもらえるような事がしたいですね。

SNSではボクシングの練習のみの投稿だったので、自宅でもできるトレーニングを配信したり、普段見せていなかった一面も見せていきたいと思っています。

ーーーファンのために。

田中:そうです。試合がないので、少しでも家での時間を楽しんでもらえたらと思っています。

僕自身も動画や写真を撮っている時間が楽しいので。

ーーーいいですね。今、ファンに伝えたいことはありますか。

田中:コロナが落ち着いて試合ができるようになったら思いっきり試合をするので、一緒に思いっきり試合を楽しんでもらいたいです。

ーーー私も楽しみにしています。また、選手に向けて伝えたいことはありますか。

田中:練習を十分にできていない選手もいると思います。

ジムに行けない状況で、ミット打ちやサンドバッグ、スパーリングができないとトレーニングも限られてきます。

だからこそ、今まで目を背けてきた、本当にやらなくてはいけないことに目を向けてほしいです。

例えば、怪我をしやすい選手ならしっかりストレッチをする、ここの筋肉が怪我しやすいからその筋肉強化を細かくする、走るの苦手だからスタミナを養うなど。

今まで後回しにしていたことに目を向けて練習をすれば、いつかやっておいてよかったと思えるようになります。

ーーー限られた環境だからこそ、後回しにしていたことをやってほしい。ポジティブに考えてほしいですね。

田中:はい。長い目で見て、今だからこそできることをしてほしいです。

FUKUDA NAOKI提供
FUKUDA NAOKI提供
元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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