KO率100%で世界王者になった比嘉大吾 ライセンス復活で年内復帰か

写真提供全て FUKUDA NAOKI

日本ボクシングコミッション(JBC)は、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(24=白井・具志堅S)のボクサーライセンス無期限停止処分を解除したと発表した。

これにより約1年5カ月の処分が明け、復帰可能となった。

早ければ年末に復帰

比嘉はJBCからライセンス無期限停止処分を受けた際、「1階級以上の転級」「定期的なコンディション管理報告の義務づけ」など解除条件を提示されていた。

現在、復帰に向けてトレーニングは再開しているようで、早ければ年末あたりに復帰戦が行われる計画だ。

比嘉は、フライ級では驚異のKO率100%で世界王者となった。

その後、日本新記録の連続KOが期待されていた。

だが、昨年4月。防衛戦の前日計量で900グラムの体重超過により、王座を剥奪された。

そして、試合では9回TKO負けとなった。

計量失格により、JBCからライセンスの無期限停止処分が下された。

本人も公の場からは姿を消していたが、最近はSNS等で練習を公開しており、復帰が待ち望まれている。

ボクサーと階級

ボクサーには減量がつきものだ。階級が下になれば、その分相手の体格やパワーが上の階級よりも下回るため、ギリギリまで下の階級に下げて戦う。

軽量級の場合、1階級の差は1.5キロから2キロ程だ。

しかし、ひとつ階級が変わるだけでスタイルもパワーも大きく変わってくる。

私は現役時代、ライトフライ級(48.9kg)だったが、下の階級に下げるのはキツく、上の階級にあげると相手に勝てなくなるため、適正階級で戦っていた。

試合が決まると、1ヶ月半ほどで8キロほどの減量をする。

最後は水抜きという方法で、急激に体重を落とすので、試合直前は非常にキツイ。

食べられない事より、水分を取れない事は精神的にも肉体的にもハードだ。

体重が増えないのであれば、水たまりでも飲みたくなるほど飢餓状態となる。

最後の最後には目も窪みふらふらになる。100gの水分を取るだけで涙が出るほどのありがたさを感じる。

たかが100gと思われるかもしれないが、その僅かな体重を落とすことも苦労する世界だ。

なぜそこまでするのか。それは試合に勝ちたい、チャンピオンになりたいからである。

ボクサーは過酷な減量に耐え、自分に打ち勝つことでリングに立つ資格を得られる。

タイトルを奪取した試合
タイトルを奪取した試合

試合期間の短さと成長期の体

比嘉とは面識があるが、とても明るく素直な好青年である。

21歳で世界王者となり、現在24歳とまだまだ若い。ボクサーとしても成長期だ。

若い選手とキャリアのある選手では、減量の方法も変わってくる。

歳を重ねると代謝は落ちるが、体の成長も落ち着き、調整のやり方もわかってくる。

しかし、若い時は体も日々成長するし、減量も試合を追うごとにキツくなる。

比嘉の場合は、体の成長に合わせて階級を変更できればベストだったが、タイトルホルダーだったため、防衛戦が優先された。

また、敗戦の前の試合は、2ヶ月前に沖縄で凱旋防衛を行っていた。

世界戦だと、半年に一回のペースが通常だが、試合の間隔が短すぎた。

急激に落とした体重を維持するのは非常に難しく、体重を落とすことでストレスも溜まる。

前の試合から充分な期間が取れなかったのも、計量失敗の要因だろう。

今後は階級を2つ上げて、バンタム級で戦っていくことになるようだ。

井上と唯一やりあえる

日本のボクシング界で間違いなくトップに君臨するのは、モンスターと呼ばれる井上尚弥(26=大橋)だ。

ここまで圧倒的な強さで、この階級に君臨している。

現在バンタム級のトーナメント真っ最中で、11月7日に5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)と対戦する。

井上、比嘉とも手合わせをしたことがある元世界王者に話を聞いたことがあるが、

井上に対抗できる唯一の日本人選手として、比嘉大吾の名前を上げていた。

バンタム級でどこまで戦えるかは、まだ未知数ではあるが、打たれ強さと馬力があるため階級を上げても順応していくだろう。

近い階級には、井上をはじめ、4階級王者の井岡一翔(30=Reason大貴)、3階級王者の田中恒成(24=畑中)など、実績がある選手も多い。

直接の対決はなくとも、他の選手が活躍する事で選手達の刺激になっていく。

比嘉の復活でボクシング界も活気を帯びていくだろう。元気な姿で豪快なボクシングを見せてくれることに期待したい。