V6王者の拳四朗 ボートレーサーからプロボクサーになった意外なきっかけ
9月8日渋谷某所で、筆者(木村悠)と拳四朗(27=BMBジム)によるトークショーが行われた。
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拳四朗は2017年に世界タイトルを獲得し、これまで6度の防衛を誇る。
前回の7月に行われた防衛戦では、1位の最強挑戦者を相手に僅か4Rで試合を決めた。
最強王者として君臨している拳四朗に話を聞いた。
入場が好き
ーーーボクシングの好きなところは?
拳四朗:注目されたり、勝った瞬間の喜びとか、あと入場です。気持ち良くないですか。あんなにキャーキャー歓声を送ってもらえると。
ーーーだから、いつも笑っているのですね。
拳四朗:嬉しいですし、楽しんでいます。
ーーー試合をするとき、恐怖とかはないのですか?
拳四朗:勝てると思ってやっているので。怖いのは一発だけです。
ーーーそれでは試合の時もそれほど緊張しないのですか?
拳四朗:しています。
ーーーしていますか。けど、入場のときは楽しんでいる感じですか?
拳四朗:最初は緊張していましたが、回数を重ねるごとに楽しめるようになりました。
ーーーボクシングを好きなところを聞きましたが、逆に嫌なところはありますか?
拳四朗:減量が辛いです。あと、1人でやる練習は面白くないなと思います。
ーーー寂しがり屋と言いますか。
拳四朗:確かに。誰かに相手をしてもらえないと淋しいです。1人ではあまりやらないタイプなので。
減量は10キロくらい
ーーー減量はどれくらいしていますか?
拳四朗:10キロちょっとくらいです。
ーーー10キロちょっとですか。拳四朗選手のインスタグラムを見ると、ほぼ焼肉ですよね(笑)。
拳四朗:肉率は高いです。
ーーーいちばん好きな食べ物は?
拳四朗:焼肉です。
ーーー減量辛くないですか?
拳四朗:減量はずっと辛いので、むしろプロになってから楽になったと思います。
ーーーアマチュアは連戦ですからね。
拳四朗:しかも、アマチュアの時は知識がないから、水分だけを取っていました。
プロになってからは、カロリーなどを落とし、最後に水分で落とすというやり方に変えて楽になりました。
ーーー7月の試合が終わって2カ月ぐらいたちましたけど、試合のスケジュール等まだ決まってないのですか?
拳四朗:まだ全然分かりません。
ーーー年内にもう1試合ありますか?
拳四朗:多分あると思います。
練習でのポイント
ーーー練習のポイント、強くなるためのポイントはありますか?
拳四朗:何かを意識するのは大切です。練習で、「今日はものすごく足を使おう」というような。
ーーーテーマを持って練習をするということですか。
拳四朗:そうです。最近は、今までと少し違うスタイルもできたらなと思って、接近戦スタイルを挑戦してみたり新開拓もしています。
ーーー違うスタイルですか。
拳四朗:遠い距離だけでは、いずれ攻略してくる人も出てくるでしょう。その前に、接近戦を想定した練習も行なっています。
試合が近づいたら、いつものスタイルに戻すというような感じで、今は吸収できるものを吸収して、身体に慣れさせています。
ーーーボクシング以外のトレーニングや、特殊なトレーニングジムに通ったり等はしていますか?
拳四朗:そういうのはないです。
ーーー基本はロードワークとジムの練習ですか?
拳四朗:筋トレもやったりしますけど、それほどガッチリはやらないので。
ーーーそれは、ライトフライ級でやり続けるというので、あまり筋肉は増やさないという方針ですか?
拳四朗:そういうわけでもないです。全然好きでもないし。
ーーーそれでは、基本的に嫌いなことはやらないということですか?
拳四朗:トレーナーとマンツーマンでしたらやりますが、僕1人では駄目なのです。追い込まれないとできないタイプなので。
ーーー今のトレーナーは厳しいのですか?
拳四朗:ミットの時は追い込んでくれます。そのくらいでないと駄目です。
僕はサンドバックも1人では駄目なのです。時間が経つのがものすごく遅く感じます。
ーーー僕は1人でも楽しみながらやっていました。
拳四朗:駄目なのですよ。ミットをもっと一緒にやってほしいと思ってしまいます。
ーーー練習で一番重視するのはミットですか?
拳四朗:はい。スパーリングも好きです。
ーーーいろいろな選手とスパーリングをしていますよね。
確か、前回タコニン戦のときのスパーリングパートナーが、先日の世界戦でIBFのミニマム級チャンピオンになったんですよね。
拳四朗:はい。とても嬉しいです。
ーーーその選手はやはり強かったのですか?
拳四朗:強かったです。パンチも結構ありましたし、フィリピン選手スタイルの接近戦で打ち合います。
プロになった意外なきっかけ
ーーー今までで一番嬉しかったことは?
拳四朗:世界を獲ったときですね。
ーーー大学時代も国体で優勝をしていますよね。
拳四朗:はい。それも嬉しかったんですが、その時はボクサーになるというよりも、ボートレーサーになりたかったので。
ーーー何故ボートレーサーになりたかったのですか?
拳四朗:僕のいとこがボートレーサーをやっていて、ペアボートで一緒に乗せてもらったことがあるんです。
それでボートのスピード感に魅了されました。しかも給料もいいみたいなので。
ーーーギャラがいいのですね。
拳四朗:なので、そちらに行こうと思ったのですが、ボートレーサーになるための試験に2度落ちてしまいました。
ですが、ボクシングのプロで日本5位以内になったら、特別推薦というのをもらえたのです。
もう特別推薦をもらうしかないと思い、プロになりました。
そこから、すぐに日本5位以内になって、ここまで来たら日本チャンピオンにいこうかと。
ーーーそれでは、プロボクサーになったきっかけは、ボートレーサーになる為だったのですか?
拳四朗:そうです。特別推薦をもらうためです。
ーーーそうなのですね。「世界チャンピオンになるぞ!」と思ってプロボクサーになったわけではないのですね?
拳四朗:全然。
ーーー気付いたら、「じゃあ、ボクシングで」というような感じですか。
拳四朗:そうなのです。日本を取ったら、世界ランクに入るではないですか。
ーーーはい。
拳四朗:「いったんボクシングで行くか」というようになりました。
ーーーまだボートレースへの夢はありますか?
拳四朗:学校へ1年行かなければ駄目なのです。その学校がすごく厳しくて、今それについていけるかなと。
ーーーもう耐えられないのですね。
拳四朗:耐えられない自信があります。
ーーー自信があるのですね(笑)。
まだまだいけそうな気がする
今までのキャリアの中で、自分が変わったきっかけはありましたか?
拳四朗:アマチュアの時は、こなしていただけといいますか、大学もそれで入ってしまったし、辞められないではないですか。
取りあえずやり続けようと思い、やっていました。
ーーー何か少しゆるふわ系な感じですね。今はどうですか?
拳四朗:今はもう真剣です。
ーーーどの辺から真剣になったのですか?
拳四朗:東京で練習をするようになってからは、ボクシングの練習中に、「ああやったほうがいいかな」「こうやったほうがいいかな」
というように、考えるようになりました。
ーーー今はボクシングを楽しめるようになりましたか?
拳四朗:そうですね。自信も付いてきて、今は楽しくやっています。
ーーー今は東京を拠点としてやっていますが、それはかなり大きいということですね。
拳四朗:成長しました。そこまで知識を知らずにやっていました。
今はどんどん吸収できるというか、知らないことがまだものすごくあるなと思います。
ーーーそれはすごいですね。世界チャンピオンはゴールではないですが、ボクサーにとっては一番目立つところです。
まだまだ成長するという事でしょうか?
拳四朗:今はいろいろなものを吸収して、まだまだ行けそうな気がします。